winter rose (ページ9)

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YT 3 ページ9

指輪を彼女の指にはめる。

「…よし、サイズピッタリ」

指輪を空中にかざして眺める彼女。

夕日がちょうど反射して眩しい。

『んふふ、キラキラしてる…』

「ちゃっちぃヤツでごめん…なんて言わないからな」

『形だけでも言いなさいよ』

「おい、俺の手作りだぞ」

『えっ？！うそ！？』

「ほんと」

『すごい！あ、だからこんなに指にピッタリなんだね』

「俺を変態みたいに言うなよ〜」

『何回も手繋いだもんね』

「まぁな」

『何回も手繋いで、キスして、楽しい思い出たくさんだね。』

「ん」

そう言って、どちらからでもなく、自然に手を繋ぐ。

見つめ合って、

照れるように

あたるだけのキスをする。

『電話はしようね』

「予定が合わなかったら？」

『遠距離恋愛の一番の課題だよねそれ』

「一層、連絡取らないとか」

『どうだろう？怖いな』

「俺も無理」

『二人のスケジュール管理するアプリあるよね？』

「入力するのだるくなるよいつか」

『ありえる』

「結論は？」

『気合で予定を合わせる』

「電話で一日デートしよ。」

『国際電話高いよ〜』

「愛を取りなさいよそこは」

『うん。取る。』

「いきなり素直だな」

『明日だなーって思って』

「明日だね」

もうすぐで日が落ちる。

タイムリミットがすぐそこに見えてきた。

『今日はさ』

「泊まってもいい？」

『うん。一緒に寝ようね』

「うん」

それでまた二人で窓の外を眺める。

本当に言いたかった言葉はやはり伝えられない。

伝えて、モヤモヤしたまま日本に行って

俺がいないと駄目とわかって

すぐに帰ってこればいいと何度も思った。

しばらく沈黙の時間がまた続いて

日は完全に落ちた。

『真っ暗なったね』

「電気点けるか」

『待って』

暗闇の中でもわかるAの目。

見つめ合って

お互いの存在を確かめるように

大切に包み込むように

深く

深く

キスをした。

伝えられない、行くなって気持ちを込めて。