winter rose (ページ37)

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DY 5周目ページ37

「仮に、俺がAのことを好きだったとする」

『何それ…』

「素直になる方法」

『私は至って素直だけどね』

「仮にそうだった場合、俺はAには誰か好きな人がいるのか、その人は誰なのか、気になって当たり前だよね？」

『当たり前ってわけでは…』

「だから、思い切って聞いてみたんだよ」

『そんなの…本当に私のこと…』

好きみたいじゃんと言いかけて口が止まる。

待て待て待て、もし今ここでそれを言ったら、すごい自意識過剰女になるところだった。

「Aのこと、好きみたい？」

『…そう聞こえた』

「そりゃそうだろうね」

『は？！』

「仮に！って最初に言ったでしょ？」

『あ、そっか』

仮に好きだったら私の好きな人が気になる。だから、私のことが気になる。

『でもさ、好きな人聞きたいのに、私のことが気になるって、おかしくない？好きな人誰？って聞いた方がよくない？』

そう言うと、ドヨンは、はぁぁぁ。と大きなため息をついてしゃがみ込んだ。

『だってそうでしょ？』

あぁ、今我ながら、めんどい女だなって思う。

こんなにドヨンのこと好きってわかりやすい態度までしてて、ドヨンはそれに気づいてるんだろうなとも思うし、なんとなく、ドヨンも私の事好きなのかなーなんて天狗になるほど余裕あるのに、こんな理屈っぽい話をネチネチと。

次にくる電車のドアが閉まる寸前に好きって言って、逃げて帰ってしまおうか。

「Aって鈍感？」

『その言葉そっくりそのまま返すよ』

「俺は結構鋭いよ」

『私も結構鋭いと思う』

「鋭くない」

『そっちこそ』

「じゃあ俺が今考えてること言ってみてよ」

『やだよなんでそんなこと』

「ほらやっぱり全然じゃん」

『ドヨンだって、言ってみてよ』

「それは…」

意気地なし同士のカップルってこの世にないと思う。

どこかで聞いた。

両想いだからって幸せになれるとは限らない。

幸せってなにかもよくわからないし、

両想いなら幸せだろ！って今まで思ってたけど

なんとなくわかった気がする。

『私帰るわ』

意気地なしは、逃げることばかり選択するから、幸せになれない。

両想いだからって、と言うよりは、意気地なしって、だし、限らないというか、幸せになれない。

「…ﾉｺ…ｼｮ」

のこしょ？なにそれ？

『なに？』

「俺！！のことー！！！」

ドヨンはそう言いながら勢いよく立ち上がった。

『え？』

何事かと思った瞬間には

私の背中にドヨンの手が回っていた。