winter rose (ページ33)

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DY 5週目ページ33

『はっ！！！』

机に突っ伏して寝てたことに気づいて勢い良く顔を上げる。

「うわっ！」

『どぅわ！？』

ドヨン？！

「起きた…」

目を大きくして私を見ているドヨン。

『うわわわ』

髪ボサボサだし…よだれ大丈夫？！待って…恥ずかしい…

「起きて〜って言おうとしたら起きた」

驚いた反動なのかお腹を抱えて笑っているドヨン

『そんな笑わなくても…』

「いやだって、ほんとにA、ツボなんだよね」

あー面白かった。そう言いながらブレザーを羽織り始めるドヨン

「Aも起きたし、行こっか、たい焼き」

『あ、うん』

そう言って教室を出て階段を降りながら思う。
私は今初めてドヨンの隣を歩いてる…
初めて一緒に階段を降りて靴を履き替える。

「いつもここを見てる側がここにいる時ってどんな感じなの？」

『特に…考えたことなかったかな…』

「ふーん」

校門を出て歩道を歩く。
向かい側から来る人や自転車を避けるために時々当たる肩や手に全神経が集まる。
触れるだけでドキドキが止まらない

「もう真っ暗だよ」

『ごめん、寝てたから…』

「あ、いや、そんな意味で言ったわけじゃないよ？」

『あ、そうなの…』

「…ねぇね」

『ん？』

「Aって、俺と話すときいつも下向くのはなんで？？」

『ええ？下向いてるかな？』

「向いてる」

『ご、ごめん…』

「ほら！今も！」

『ええっ…無理だよ…』

「そんな重要なことじゃないようなことが案外重要なんだよ！」

『で、できるよ！私にだって！』

そう言って勢い良くドヨンを見つめる。

その間1秒あっただろうか？

いつも遠くにいるドヨンが近くにいて

心臓はドキドキどころじゃない。

すぐに目をそらしてしまった

『ほら』

「ほらって威張れるほど目合ってないよ？」

『私は合ったよ』

「俺は合ってないなぁ」

『1日1回まで』

「じゃあ前借りで今やって」

『あ、たい焼きや』

「あれ？閉まってない？」

『ほんとだ』

「えー！」

『仕方ないね』

「お腹空いた…」

『仕方ないじゃん』

「コンビニ行こう！」

『え？でもここらへん学校まで戻らなきゃコンビニないよ』

そういった瞬間にはもうドヨンは私の手を掴んで走り始めていた
時々触れるだけだったはずが、握られている手。

『足っ速…待ってっ』

「あ、ごめんごめん」

そう言って止まっても握り続ける手。

この手はどうなるんだろう

離れるのかな

「歩いてこ」

そう言って歩き始める。

手は離れなかった。