winter rose (ページ28)

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DY 1週目ページ28

「ごめん、先生じゃないよ」

そう言って入ってきたのはクスクス笑うドヨンだった

『へ…？はっ、あ、ごめんなさい』

とんだ恥ずかしいところを見られたというか…聞かれたというか…

「先生待ってたんだね」

『う、うん』

やばい、私今ドヨンと話してる…

「ずっと窓から下見てるから下駄箱観察してるのかと思ってた」

『え？見てたの？』

「いや、一人でいるの珍しいなって」

恥ずかしい…どうしてそんなところ見られていたことに気づかなかったんだ私…

『てか、なんでここにいるの…？』

「あ、そだ、資料忘れて取りに来てたんだよ〜やばいやばい、早く行かなきゃ」

そう言ってガサガサ机の中を探っている。

「あった」

『よかったね』

「よし、じゃぁね！」

そう言ってバビュンと聞こえるんじゃないかってくらいの速さで教室を出ていった。

廊下で、あっドヨン！走るなー！って担任の声が聞こえる。

じゃぁねって言われたことが私には軽い衝撃で

あのじゃぁねは私に向けられたもので

あの笑顔も私に向けられたもので

あ…私何も返してない…

ｶﾞﾗｯ

「A〜待たせたな」

『あ、はい、全然、はい』

「どした？」

『いえ、ども』

「おう、じゃあ早く帰れよ〜」

そう言って私を一人長い間待たせた先生は帰っていった。

ノートを見つめながら考える。

私は今この何分間かで多くの過ちをおかしていないか…？

ちゃんと教室に入ってくる人が誰かを確認すべきだったし

話しかけられてあんなキョドっていて、ただの変人だと絶対に思われた

窓から下駄箱の人たちを見ていたのがバレていたということは、私がチラチラドヨンのことを見ていたことまでバレてる可能性だってある。

絶対キモイって思われたよね…？

折角声かけてくれたのになんでここにいるの？って、ここはドヨンの教室でもあるんだからいたっていいでしょーよ…

最後なんて…じゃぁねって言ってもらえたのに…！！

挨拶もろくにできない人間だと認知された。

だめだ…

考えれば考える程後悔が積もる。

『泣きたい…』

ドヨンとの初めての会話は失敗に終わった。

これが最初で最後の会話だとしたら

私は一生恋なんてできないと思った。