winter rose (ページ27)

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Doyoung　1週目 [じゃぁね] ページ27

「A」

『なにさ』

「ほんっとーに好きだね？ドヨンのこと」

『いきなりなに！？』

「私と話してるのにずっと目合わないから」

『叶わぬ恋なんだよ？見ることくらい許してよ』

「へぇへぇ」

高校に入学して初めて彼を見て、一目惚れをした。

1年生のときは私はD組でドヨンがA組
2年生のときは私はB組でドヨンがE組

関わることなんて0で。

3年生になって同じ組になれたことは、奇跡だった。

話してみたいのに、未だに会話は0

ノート貸してとかいう会話を交わしてみたい。

一度でいいからあの目に映りたい。

『無理だよね〜』

「なにが？」

『ドヨンと会話』

「接点がなさすぎてね」

『だよね』

「私もう帰るけど、A帰らないの？」

『先生にノート返してもらえてないんだ、待っててって言われた』

「あーなんか言ってたね。んー、塾行かなきゃだから先帰るね」

『うん、じゃぁね』

「バイバイ」

どんどん帰っていく教室内の人

下駄箱のすぐ上にあるここは、その人達のじゃぁねがよく聞こえる。

案外その声を聞くのは嫌じゃない。

その声たちを聞きながらチラチラドヨンに視線を送る。

なかなか帰らないドヨンとその友達。

人が減っていくに連れて聞こえてくる彼らの会話。

「ドヨン、今日の委員会やる教室どこだっけ？」

「え、お前が聞いてると思って聞いてなかった」

「は？！」

「嘘だって。2Dだってよ」

あ、そうか、ドヨンは放送委員だ。

そういや毎週月曜は委員会の集まりがあるって聞いて絶対入んないって思ったんだよなぁ

そしたらドヨンとその友達が放送委員に立候補してて、めちゃくちゃ後悔したのを覚えてる。

各委員会2人って決まりだから後悔したってあれなんだけど。

気付けば教室内は委員会の人たち数人と私だけになった。

先生まだかよ…と思いつつドヨンと同じ空間にいれることが嬉しい。

「そろそろ行くか」

「お〜」

という声が聞こえてきた。

じゃぁねって言ってくれないかなぁなんて思いながらスマホをいじる。

一度も話したことがないのだからそんな思いは叶うはずもなく、ピシャリと閉まるドア。

委員会の時間なのか他の人たちもどんどん出て行き静かになる教室内に響くのは下にいる人たちの声のみ。

『先生〜まだですか〜』

なんて、一人だから言ってみる。

しばらく机に突っ伏していると、ドアが開く音がした。

『先生遅いよ〜』

そう言いながら出入り口を見ると、入ってきた人は私のノートは持っていなかった。