winter rose (ページ15)

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MK 5 ページ15

「あ〜〜…」

「どしたんだよマーク」

「なんでもない」

「なんでもねぇならサッカーちゃんとしようぜ〜」

「わかったよ…」

あれから二週間も経ってしまって、雨の日が来ても図書室にはなかなか行けなくて

晴れの日も、カウンターにいるA先輩を遠くからチラ見するだけ。

やらかしてる…早く会いに行くべきだったのはわかるんだけど…後悔ばっかりしてたらどんどん日付が進んでいた。

「マク！！！」

「え？うわっ！！」

「ごめん！！」

「大丈夫大丈夫、てか今日風強いな〜！」

「ボール飛んでったぞ〜」

「どこ飛んでったんだろ？」

「俺向こう探すわ」

そう言って俺は真っ先に図書室の方に向かう。

気まずいけど、ここに来るのは俺だけがいい。

少しでもA先輩の視界に入りたかったりする。

カウンターで何かを書いているA先輩。

静かにカウンターに近い窓に行って、見えないように座る。

…なんか歌ってる？

『あ、そだ、感想文取らなきゃ』

こちらに歩いてくる音がする。

あの感想文取るんだ…

感想文を取りながらまた歌い始めたA先輩。なんの歌なんだろう？

そう思ったとき、ビューっと風が吹いた

すると目の前に風で押されたボールが転がってきて、それに触れたとき、手元にふわっと何かが落ちてきた

『あっ』

って声がして振り返ったらバサッと紙の束が俺の顔に降ってきた

「うわっ」

『えっ』

「あっ」

目があって、やばい。と思った。

けど、ここで逃げたらもう次はない気がして思い留まった。

とりあえず落ちた感想文を集めて、渡す

『ありがとう』

「い、いえ…」

俺から何か言わなきゃいけないのはわかってる。けど、なんて言えばいいのか全くわからなくて…

『今日は風…強い…ですね…窓、閉め…ま…す。』

「待って！…ください」

閉まる窓を必死に止めて次の言葉を探す

「あの、えと、この前は…ごめんなさい…」

『こちらこそすみませんでした。もう、忘れてください。』

「え？」

『あんな尋問みたいに迫られて、出てしまっただけなので…気にしないでください』

そう言って閉まった窓

カウンターに戻る先輩の背中を見て、涙が上がってきた。

泣く資格なんて俺にはないのに
俺がただ一方的に傷付けたのに

でも走って図書室に行く権利なんて俺にはない気もして、悔しくて

やりきれない気持ちになった。