Black Stone (ページ29)

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楽屋に戻ると

伊吹さんが顔をしかめた

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伊吹『モモさん…タバコの匂いが』

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｢あ～…消臭剤ある？｣

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伊吹『はい、ここに』

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忘れてた

結構匂いキツイから取れるかな…

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伊吹『もうすぐで、撮影再開するみたいなのでスタンバイお願いします』

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｢ほーい｣

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鏡の前で

少しゆるく巻かれた髪の毛を直す

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｢てかあの子、どんな感じ？｣

伊吹『あの子と申しますと…』

｢名前わかんないけどさー、さっきNG連発した子｣

伊吹『先程、監督と確認してらしたので…多分大丈夫かと』

｢困るのよね、あぁゆうのさ。｣

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髪の毛が決まったところで

楽屋を出て

スタジオに戻る

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美紀『モモ～！どこいってたの～？探したのに！』

｢ごめ(笑)ちょっとね｣

美紀『もう！(笑)教えてくれてもいいのに！てか櫻井さんもいないんだけど！見なかった？』

モモ｢ん？見てないよ｣

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美紀『ふ～ん、そっか』

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女優やってると

嘘を付くのがうまくなる

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美紀『あ！噂をすれば！』

｢え？｣

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振り返ると

さっきのは幻覚だったんじゃないか

と思うほど爽やかに歩いてくる櫻井さん

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美紀『もう櫻井さん聞いてくださいよ～！』

櫻井『ん？』

美紀『モモったら、さっきの時間どこ行ってたか教えてくれないんですよ～？』

｢ちょ、ちょっと！｣

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やば…

櫻井さんが言ったら

さっきのが嘘ってバレる…

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櫻井『へぇ～～(笑)』

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怖いほど穏やかな笑顔

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美紀『櫻井さんもいないし～』

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櫻井『モモちゃんどこいってたの？』

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フラットに聞いてくる櫻井さん

もしかしたら思ってる以上に

意地悪かもしれない

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モモ｢私の…好きな場所に｣

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櫻井さんは唇を動かし

微かに微笑んだ

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私はこの時

確信した。

さっきの"あれ"は"現実"だったと。

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