Psycho-2 (ページ41)

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さたでーないと10 ページ41

「はい、着きましたよ」

私のアパートの前に島崎さんが降り立つ

島崎さんに(無理矢理)連れて行かれた夜の遊覧飛行？はとても筆舌できないほどにすばらしい体験で、久し振りに童心に返るようなファンタジーなものだった
目を瞑るとあの景色が脳裏に浮かび、自然と口角が上がる

彼のやり方から素直にお礼を言うのは癪だが、それでも口からはぽつりとあの夜景を称賛する言葉が漏れた

「そんなに喜ばれるとは、私も本望です」

聞き漏らすことなくそう言って微笑む島崎さんを見ると、この感動を共有することができないことをすごく残念に思う

「島崎さんにも見せてあげたいです…私ひとりにはもったいないわ」

すると島崎さんは私のその言葉に、顎に手をあて少し考えたあと

「私はAさんの顔の方が見てみたいですね」

と返した

「なんで私の顔なんですか…」

比較対象に、全然あの景色のすごさというものが伝わっていないとがっかりする

「他の男は見れるのに私だけなんて不公平じゃないですか」
「こんなことに公平も不公平も…」
「あります」
「そ、そう……」

真面目な顔してこんなことを言う島崎さんって本当に掴めない人だ、と思いひとつため息を吐くと、「まあ人間の五感はひとつ失われても他のものが上手く機能するんですけどねー」なんてわざとらしい声が隣から聞こえてくる

仕方なしに彼の片手を自分の顔の頬に持っていく

「…これで満足ですか」

結局さっきの島崎さんの台詞は遠回しにこういうことを頼んできたのだ

「はい、とても」