Psycho-2 (ページ5)

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なにも知らないこどもたち 2 ページ5

「で、ショウ君から何を聞きましたか？」

逸れた話を元に戻す
私を家に入れたことから考えて爪のことは聞いてないとは思うが、万が一私達組織のことを知っているならばその事実を把握するに越したことはない

Aさんは本来の話題を思い出し、あ、そうだった、と言うと

「家庭事情について聞きました」
「…ああ、片親だということですか」

ショウ君の家はだいぶ昔に母親が出て行ったと聞いたことがある
だからなんだという程度の話だが

「…それだけですか？」
「それだけです」

結局ショウ君はAさんに肝心なことは何ひとつ話していないようだ
そっちの方が動きやすいし、いいのだが

「えーと、私達の関係ですよね？」

「そうです」

突然、ずいっとAさんがテーブル越しに怖い顔で身を乗り出した

「子供を平日の昼間に連れ歩く関係が知りたい、と申しているのです」

(顔に影が入ってる…)

さっきのことを根に持っているのだろうか、それとも今更ながらショウ君を学校とやらに行かせてないことを怒っているのだろうか
Aさんは珍しく高圧的な態度だ

(うーん…困りましたね
ここまで聞かれてしまっては、上手く誤魔化すのは…)

「ショウ君の父親は私の上司なんです
変な関係じゃありませんよ」

「…納得のいく答えじゃないんですけど」

「ショウ君の父親は社長でしてね、ショウ君に後を継がせるために今のうちから色々と地方の支部を見学させてるんですよ」

(…本当に？こんな小さいうちから？)

Aさんの眉はまだ寄ったままだが、何も言ってこないことから一先ず納得してもらえたらしい

(本当のことをかいつまんで話せば案外それっぽくなりましたが…しかし何ひとつ嘘を言ってないのが逆に怖いですね
まるで爪が普通の会社に思えますよ)

まあ、約１名爪を会社だと勘違いしている節のある男はいるが

「ふぁ…っ」

Aさんが噛み殺せなかったあくびを漏らす

「おや、眠いんですか？」

「少し…
でもショウ君を起こしちゃ可哀想ですから、あと1時間ほど我慢します…」

Aさんは涙が溜まった目をこすりながらそう答えた
この様子では1時間も持ちそうにない

いつまで耐えていられるか観察していると、一度大きく船を漕いだあと、ばたんとテーブルに頭を突っ伏し、動かなくなった