Psycho-2 (ページ40)

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さたでーないと9 ページ40

「それとも…そうですね、何か弱味でも握られているのかな？」

まるで霊幻さんがひどい人だとでもいうようなその言い種に、考えていたことも忘れて言い返す

「なんてこと言うんですか！？そんなんじゃありません！
霊幻さんは私の命の恩人で…」

「ほら、やっぱり
Aさん、あなたはきっとその恩に縛られているだけですよ」

途中で口を挟まれる
そんな風に霊幻さんへの思いを考えたことはなかったので、少し面食らってしまう

「違うわ…島崎さんは霊幻さんを知らないから、誤解してるんです」

そっぽを向いてそう答える

(そうよ、そうに決まってるわ
だって私は霊幻さんのカッコ悪いところも含めて、好きなのよ…？命の恩人とか、今は関係ないわ)

「まあそんなことはどうだっていいのですが」

さっきまでの高圧的な雰囲気とは打って変わり、島崎さんはいつもの笑顔に戻ると

「Aさん、高い場所は好きですか？」

「…え？」

唐突にそんな質問を投げかけてきた

「好き…です」

質問の意図が全く掴めないまま、とりあえず返事をする

「それは良かった」

一体なんの話だ、と聞こうとしたその時、突然体が宙に浮いた

足が地面に着いてない…？

「危ないですから、しっかりつかまっててくださいね」

いつの間にか島崎さんに横に抱えられ、ついさっきまでいた場所がどんどん下に離れていく

「う、うそうそうそうそ！？！！
だっ、だめです、島崎さん！！離して！」

いくら高い場所が好きだと言っても、急にこんな上空に身ひとつとなれば話は別だ

軽くパニックに陥った私を面白がるように笑う島崎さんの、「離せばAさん死んじゃいますよ」というひとことでサーッと血の気が引く

「やだ、だめっ！
ぜ、絶対離さないで！！」

今度は島崎さんの首元にしがみついて叫ぶと、

「はい、絶対離しません」

と、上機嫌な声が返ってくると同時に島崎さんの私を抱える腕にぎゅーっと力が入る

「もう！島崎さんのバカっ！！！
無事に地上に降りるまで口聞いてあげないんだから！」

せめてもの反抗に、そんな子供じみた事を言うと

「じゃあAさんが口を聞いてくれるまで降りません」

なんてことを島崎さんはおどけて言うのだった