Psycho-2 (ページ36)

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番外編:私を想ってください4 ページ36

霊幻さんの家に上がり、運んできたケーキをテーブルの上に置くと、モブ茂と芹沢さんを筆頭に私と霊幻さんを除いた4人はケーキに夢中になった

「あー、その、なんだ
今日はありがとな、A」

ふたりで玄関から4人を眺めていると、突然霊幻さんが頭を掻いて言う
顔は変わらず4人の方を向いているのでその表情は分からないが、きっと照れているのだろう

正直ケーキは私ひとりで作った方が早く、疲労も少なく完成したはずなのだが
「私ひとりからよりも霊とか相談所のみんなで作った方が喜んでもらえるだろう」
と思い、決断した私の判断は正しかったようだ

「…どういたしまして

はいこれ、私からのプレゼント」

そのひとことでやっと振り向いてくれた霊幻さんに、両手で抱えていたパンジーの植木鉢を渡す

「へぇ、パンジーって今咲くのか
ありがとな、大事にするよ」

今度はちゃんと私の目を見てお礼を言うその笑顔に、思わず胸が高鳴る

私は霊幻さんの悪どい顔も焦った顔も好きだけど、やっぱりその優しい顔が一番好きだ

他の4人はケーキに夢中…せっかくのチャンスだ、と意を決して言葉を紡ぎ出す

「あ、あの、霊幻さん
パンジーの花言葉って知ってます？」

「パンジーの花言葉？…知らねえな

ってなんだよ、その顔は
教えろよー」

「ちゃんと聞いててくださいよ？

パンジーの花言葉は…」

べちゃっ

見つめ合っていたふたりは同時に音の方に顔を向ける

「あ？このケーキ切るの難しすぎねーか？」

「あーあ、エクボ…せっかくのケーキが台無しじゃないか」

ウエディングケーキの上の方の段が崩れて、テーブルがケーキまみれになっている

「あああああーーーｯｯｯ！？！！！！！
何お前ら主役抜きにしてケーキ食おうとしてるわけ！？おかしーだろ、それ！！！」

すごい形相で霊幻さんがケーキの方へ走って行った

「すいません霊幻さん、俺止めたんですけど…」

「何言ってるんですか
たかだか誕生日くらいであなたごときが主役になれるわけないでしょう？」

「おまっ、マジで容赦ねーな！？」

「ほら切り分けるから早くもっと皿持ってこい」

「僕一番大きいのがいいな…」

「モブ！お前はもうちょい師匠に遠慮しろ！」

(…やっぱり

やっぱり誘うんじゃなかったわ！！！！)

その後食べたウエディングケーキは、なぜか少ししょっぱかったです。

※パンジーの花言葉
「私を想ってください」他