Psycho-2 (ページ31)

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さたでーないと4 ページ31

ワインの注がれたグラスを目線の高さまで掲げて乾杯する

「こんなに良いワイン…よかったんですか？」
「気にしないでください、この前の地酒のお返しということで」

0の数が違うと思うが、あまりそういう事をとやかく言うのは良くないだろう、と思い黙った

「それよりもどうですか、ここから見える夜景は
気に入っていただけましたか？」
「えぇ、もちろんです」

私がそう答えると、島崎さんは「それはよかった」などと言い、少し考える素振りを見せた後、私に賭けをしないか、と持ちかけた

「…賭け、ですか？」

あまりに唐突な提案に島崎さんの台詞を繰り返す

「そうです

私がこの街を今年中にAさんにプレゼントできるかどうかを賭けませんか」

ごぼっ

ずいぶんと大げさな話にワインを飲みかけていた口から変な音をたててしまった

「じょ、冗談ですよね？」

街ひとつプレゼントするなど、非現実的にも程がある

苦笑いを浮かべてそう聞くも、島崎さんはにこにこしながら「本気ですよ」と言う

やっぱり島崎さんは掴めない人だ
恐らく私をからかっているのだと思うがそこまで言われれば、そう簡単には引き下がれない

「いいですけど…
もちろん私はできない方に賭けます」

こんな馬鹿馬鹿しい賭け、結果など火を見るより明らかだ

しかし、私がそう答えた後の島崎さんの自信に満ちた笑みを見ると何か策があるような気がしてくる(まあこの人はいつもこんな顔をしているが)

「そういえば何を賭けるか聞くのを忘れてますね
一体この賭けは何を賭けるんですか？」
「ここはひとつ…相手から欲しい物を賭け合いませんか？」
「…つまり私が島崎さんから欲しい物を言えばいい、ということですね？」
「もちろんお金で解決する物でも構いませんよ」

(こんなに次から次へとお金を使えるなんて島崎さんって一体何の仕事をしているのかしら…)