Psycho-2 (ページ4)

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なにも知らないこどもたちページ4

インターホンを押すと、いつものようにAさんが出て来た

ただ、今日のAさんは人指し指を口の前に立て、「静かに」という腹芸をした

「…？
今日はどうしたんですか？」

小声でAさんに聞くと、

「ショウが風邪引いちゃったみたいで…
今やっと寝たところなんです」

と口の横に手をあて、ないしょ話をする要領で答えた

ショウ君が風邪を引くなんて珍しい
馬鹿は風邪をなんとやらと言うが、あれはやはりただの都市伝説だったようだ

Aさんに連れられ、部屋に入ると確かにベッドにはショウ君が荒い息で眠っていた

「これは困りましたね…」

(仕方ない、Aさんにはあまり見られたくありませんが瞬間移動で帰るとしますか)

そう思いショウ君に歩み寄ろうとした時、控えめにAさんに服を引っ張られた

「島崎さん、ショウを起こすならもうちょっと後にしてあげませんか？」

相変わらずの小声でそう提案してきた
そういえばさっき寝たばかりだと言っていたことを思い出す
私の超能力を知らないならそう言うのも無理はない

「…あと私、島崎さんに聞きたいことがあるんです」

Aさんが真剣な顔で「聞きたいことがある」と言ってきた時、私達のことだろうとピンときた(というより、Aさんに聞かれることなんてそれ以外思いつかないと言った方が正しいのかもしれませんが)

案の定その予想は当たっており、私とショウ君の関係について詳しく話してほしいと要求された

「そうですね…話してもいいですが、まずは私からひとつ、聞きたいことがあります」
「…なんですか？」

(相手の要求を先に呑むと主導権を渡すことになるというのに)

身構えながらも私の要求に答えた、あまりに素直なAさんについ加虐心が芽生える

「ショウ君から何を聞きましたか？」

肩に腕を回し、体を引き寄せて耳元でそう囁くと、Aさんは小さく悲鳴をあげて私の腕を払った

真っ赤なその顔が可笑しくてつい、くつくつと喉を鳴らし笑うと、まだ顔の赤いAさんが拳を握りしめながら「ふざけないでくださいっ！」とムキになってしまった

「小声で怒られましてもねぇ…」