Psycho-2 (ページ28)

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さたでーないとページ28

壁は一面ガラス張りであり、さらにこのレストランは高層ビルの最上階に位置するため、街の夜景がここから一望できる

まさにこのレストランはアベックに持ってこいの場所、というわけだ

(すげー値段…こんな場所で飯食うことなんて一生ねーな)

しかしそんな夜景より俺の心を動かすのは、客が開いているメニューに記載されている値段だ

(やっぱ高級レストランは違うな…となるとここらにある食器も良いやつばかりだろうな)

割らないように気をつけよう、と冷や汗を流しながら厨房に戻ったところ、支配人…もとい今回の依頼主に声をかけられた

「霊能力者さん、えーと、確か名前は…」

「霊幻です」

支配人が俺の名札を見ると同時に答える
なんで名札なんてつけているかというと、俺は今このレストランのボーイに扮装しているからだ
じゃあなんでボーイに扮装しているかというと、只今絶賛潜入調査中だからだ

なんでもスーツを着た客でもない男にレストランをうろうろされると、怪訝に思う客が出てくるかもしれない
という支配人の「心遣い」から、俺はボーイの仕事をこなしながら悪霊調査もする…というまるでフィクションのような状況にいる

「あ、そうそう霊幻さん
何かわかりましたか？」

「まあ大方の予想はつきました
後はしばらく様子見させてください」

聞けば最近このレストランでは物の位置が変わっていたり、妙な物音がしたりと怪奇現象が起こるらしく、その原因解明と解決が今回の依頼内容なのである

「ところでその怪奇現象はいつから始まりましたか？」

「おとといからです
万が一お客様に何かあってからでは遅いので早め早めの対応を、と」

さすが高級レストランといったところだろうか、何かにつけて大げさだ

「最近何かあまり良くないことなどありましたか？」

「実は先日、シェフをひとりクビにしまして」

「なるほど…逆恨みによる呪いという可能性もありますね」

ふむふむ、と顎に手を添えて返事をし、それっぽく見せる

「単刀直入に聞きますが、除霊できそうでしょうか」

「大丈夫です、この霊幻新隆にお任せください」

ビシッと親指で自分の顔を指差し答えると、支配人は、それは良かったなどと言った直後、すぐ自分自身の仕事に頭を切り替え、

「あ、そろそろ3番テーブルの方のオーダー取りに行ってください」

と俺をホールへと向かわせた

(…ったく、これで除霊作業ぶんの給料しか出ないって割りに合わねーよな)