Psycho-2 (ページ27)

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土曜日どうでしょうページ27

「ただいまー」と言いながらアパートのドアを開けるが、返事がない

それもそのはず、留守番をしていたショウはまだ夕方だというのにベッドの上で寝息をたてている

(まあいいわ、今のうちにさっさと晩御飯を…)

そうして料理に取り掛かろうとした時、唐突にチャイムが鳴った

「今日はずいぶんと早かったですね」

料理を再開しながら後ろでくつろいでいる島崎さんに言う

「Aさんの手料理が食べたくなりまして」
「ふふっ…相変わらず口がお上手ですね」
「やだなぁ、本心ですよ」

そんな他愛ない会話をしていると、不意に島崎さんが珍しく真面目な口調で切り出してきた

「実は今週末で私、本部に戻ることになったんです」

思わず料理をしていた手が止まる
そういえばショウの研修だかの付き添いだと言っていたことを思い出した

「それは…ずいぶんと急ですね」

色々からかわれたが、悪い人ではなかった…と思う

(島崎さん、いなくなっちゃうのね)

ぼんやりとそんな事を考えると、ふと一つの疑問がわいた

「あれ…その場合ショウはどうなるんですか？」
「そうなんです、そこなんですよ問題は」

今まで迎えに来ていた島崎さんがいなくなるということは…

「もちろん私からもホテルに戻るよう言っておきますが…間違いなくここに居座ると思います」
「…ですよね」

まあ今までだってほとんど同居しているようなものだったが

「末端の人間を寄越そうとも考えましたが…」

島崎さんが断念したであろう策のひとつを溜息とともに吐き出す
初日のことを考えるとそれじゃああまりにもその人が不憫だ

「ショウひとりくらいどうってことないですよ、あまり気になさらないでください」

仕方ない、ここまできたのだから最後まで私が面倒見るべきだろう

「そう言ってもらえると助かります、いつもAさんには迷惑かけてばかりで
Aさんさえ良ければ今週の土曜にでもご馳走させてください」
「え！？」

いきなりのお誘いにたじろいだせいで、危うく指を包丁で切りかけた

「…変なとこ連れて行ったりしませんよね？」

ゆっくりと振り向いて不審の眼差しを送る

「参ったなー、そんなに私信用ないですか？」

そう言って明るく笑う島崎さんを見ると、色々前科があるにも関わらず、まあいいかと思ってしまう(決してタダ飯につられたわけではない)

「…土曜日ですね」
「はい、忘れないでくださいね」

と同時に両手を握られたのは言うまでもない