Psycho-2 (ページ26)

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霊幻さんは心配性 2 ページ26

「おまっ、それ大丈夫なのかよ！？」

霊幻さんはバシッと持っていた新聞を机に置いて、身を乗り出す

「えっ、全然、大丈夫です！
その人もちゃんと警察に出しましたし！」

そのオーバーリアクションに若干照れくささを感じながら、首を横にぶんぶん振る

「警察に出したからって安心ってわけじゃねーだろ！？
住所とかはバレてないか！？電話番号は！？あと他に何か個人情報とか……」

ところが私がああ言ったにも関わらず霊幻さんは、指折り数えながら色々と確認をとってくる

当事者の私よりもあれこれ危惧している霊幻さんを見ると、「また心配かけて悪いことしちゃったなー」とも思うが
なによりもまず、いつかのように幸福感でいっぱいになる

霊幻さんが私に与える「心配してくれる人がいる」という事実に、私は絶大な安心感を得ることができる

「で、当然そのバイトはもう辞めるんだよな？」

一通り言いたいことを言い終わった霊幻さんがひとつ息をついた後に、最後の確認だというように横目で確かめてくる

「いえ、やっぱり続けることにします」

何か言いたそうに口をぱくぱくさせている霊幻さんに構わず続ける

「ここで辞めれば私、あの男の人に負ける気がするんです
まだあそこで働くことが、私なりの今回の事とのけりのつけ方なんです」

私がそう言い終わると、霊幻さんはしばらく何か考えた後、私の方を向き直し、

「そうか…Aが決めたことなら俺は何も言わない
ただし、怪しい男にはじゅうぶん注意すること！」

と言うと、また新聞を広げ記事を読み始めた

「ふふっ…なんですか、それ」

注意なんて、いまさらすぎる
私はもうとっくの昔に今目の前にいる怪しい男に取り込まれているというのに

「霊幻さん」

ソファに座り直したところでたまらず声をかける

「んー？」

気の抜ける返事が返ってくる
霊幻さんの関心は今はもっぱら新聞の記事だろう
だが私としてはそちらの方が都合が良い

「心配してくださって、ありがとうございます
私霊幻さんのそういうとこが好きです」

今一番言いたいことを言ってやった

「おー、そーかそーか」

まるで子供をあやすかのような物言いだ

やっぱり私の真意は全く届いてないようで、残念…というよりは安心した

(…やっぱり流されちゃった
ま、今のは決定打に欠けてたもんね)

(…え、今のってテキトーに返事したけど…違うよな？深い意味ないよな？)