Psycho-2 (ページ22)

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トラかウマかトラウマか 4 ページ22

ぱたんと更衣室のドアを閉め、鍵をかけた

さっきまで行われていた、ここに仕組まれた隠しカメラを取り除く作業のせいで部屋はずいぶんと散らかっている

「ふぅ…」

やっとひとりになれた安心感から全身の力が抜け着替えもせず床にへたりこむと、そこでついに緊張の糸が切れ、目から涙が落ちてくる

嫌でも頭から離れない携帯の画面、一面が自分の写真だった

ぞわりと背筋から不快感が伝わる

(…ここには誰もいないから)

曲げた膝に顔を埋めて、両腕を抱えた

そうやって溜めていたぶんの涙を流そうとした時、ドアをノックする音が聞こえた

「Aさん？大丈夫ですか」

(げ…島崎さん)

これから人が泣こうとした時に限って…と多少疎ましく思うが、無視するわけにもいかないのでなんとか涙を止め、涙声が出ないように咳払いで声を調整し「大丈夫です」と答えた

「…Aさん、私が盲目なのは知ってますよね？

普段から音を頼りに生きている私はそんな下手な演技に騙されませんよ」

私の嘘はあっさりバレてしまったようだ
ドアの向こうでいつもの余裕の笑みを浮かべる島崎さんが容易に想像できる

せっかくの私の努力を島崎さんはなんだと思っているのだろうか、と思わずムッとする

「…だって、ショウにあんな偉そうなこと言った手前、私が泣いたらだめじゃないですか！」

言葉を発してと気が緩んだのか
それとも自分の弱さを今一度認めざるを得なかったからか

島崎さんにそう言った拍子に、視界がまたじわりと滲む