Psycho-2 (ページ15)

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C2H5-OH ページ15

バイトを上がり、駐車場に向かう

「はい」

ヘルメットホルダーから取り出した半ヘルをショウに手渡すと、ショウは「おう…」と小さく返事する

「A…今日はほんとごめん」

いつもの生意気な態度からは想像出来ないそのしおらしさに思わず笑いがこぼれる

「…ぷっ、
もう…そんなに気にしなくていいのに」

笑いながらショウの頭を撫でると、その髪が整髪料で固めたかのごとくガッチガチであることに気づいた

「…ショウ、あんたジュースかなにか頭からかぶった？」

コーラをかぶり固まった髪をアパートで洗うことを私が許可したので、アパートに帰るとすぐにショウは一目散に風呂場まで走っていった

「タオルは何使ってもいいから
シャンプーとリンス間違えないでよね！」

「わかってるー！」と風呂場から返事する声が聞こえる

とりあえずショウがシャワーを浴びているうちにさっさとやることをやってしまおう
そう思いレジ袋を持って台所へと向かった

「Aー、上がったー」
「ちゃんと拭いたでしょうね？」

台所から振り向いて見ると、首から下げたタオルを両手で握ったショウが満足げに机の前に座っている

ずぶ濡れのままで

「ショウ、ちゃんと体拭きなさいよ！
歩いたあと水溜まりできてるじゃないの」
「えー、俺ちゃんと乾いてるぜ？
な、チョビ」

どこまでも生活力のない子供だ…
前の風邪の原因は大方これだろう

「もう！」

チョビを観察しているショウの後ろにしゃがんで首にかけてあるタオルを手に取り、濡れた頭を拭く

「ショウは髪短いんだからちょっと拭けばすぐ乾くでしょ！」
「えー、俺Aにしてもらうのがいいー」
「ばか」

ショウはゲージから出したチョビを撫で、満悦の表情だ

撫でられているチョビはというと、いつものように何もわかってないような、ある意味幸せそうな顔をしている

が、突然何かを思い出したかのようにショウの手から飛び降り、どこかへと行ってしまった

「うわっ、おい、チョビ！」

一瞬の出来事だったためチョビの動きに目が追いつかず、見失ってしまった

「探さねーと！！」
「そんなに焦らなくてもこんな狭いアパートだからすぐ見つかるわよ」

やっぱりチョビは油断ならないやつだ
ふう、とひとつ溜息をつく

「A、足元気をつけろよ！
チョビちっせーから踏んじまうかもしれねーから！」
「あ…」

思ったよりもチョビ探しは骨が折れる仕事のようだ