Psycho-2 (ページ12)

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メイドの彼女に会いに行こう 2 ページ12

「お帰りなさいませ、ご主人様」

入り口で数人のメイドがそう言って出迎えてくれるものだと思っていたが
現実は異なり、憧れの「お帰りなさいませ」は普通のファミレスの「いらっしゃいませ」の要領だった

それでもやはり、女性がメイド姿をしているという光景はなかなか胸にくるものがあり、感嘆の声が口から漏れる

しかし感激している俺とは裏腹に、ショウは慣れた様子で指定された席へとついた

「お前こういうとこ慣れてんのか？」

椅子に腰かけながら聞くと、ショウは「まあな」と言い、周りのメイドには目もくれず受け取ったメニューを開きどれにするか悩んでいる

「はい、どうぞ、ご主人様～」
「ど、どうも…」

こっちはメニューを受け取るのですら、しどろもどろだというのに

「なんか意外だな…
お前がまさかこういう場所が好きだとは…って高ｯ！」

メニューを開き、品物の値段に驚愕する

「いや、別にこういう場所が好きなわけじゃねーよ
ただな、俺の女がここで働いてんだよ」

にぃー…と片方の口角を上げ、いたずらっ子のような面持ちでショウが俺に耳打ちする

「は！？お前彼女いんのかよ！？」
「ま、正確には「予定」だけどな」
「マジか……
実はな…俺の…その…………憧れの人もここで働いてるらしいんだけどよ
お前でもそこまでこぎつけられてるんだったらよ、俺にだってチャンスぐらいあるよな？！」
「おう！
当たって砕けろ、だ！！」

と、俺とショウが互いに意気込んでるとき
「ご注文はお決まりでしょうかー？」
エプロンからペンを取り出しながらメイドが聞いてきた

「俺コーラ」
「はい、しゅわっときゅんっとこーら☆、ですね！」
「お、俺もその、しゅ、しゅわっときゅんっとこーら☆……で」
「はい、しゅわっときゅんっとこーら☆おふたつですね！」

オーダーをとったメイドが厨房へと去って行った

「お前なー、恥ずいなら言うなよ」
「つられたんだよ！！忘れろｯｯｯ！」

首から上が熱くなり、鏡を見なくとも今自分の顔が真っ赤であることがわかる

「あーあAまだかよ、おっせぇー」

退屈そうに椅子を揺らしながらショウが呟いた

「はあ…
俺も早くAさんのメイド姿見てーよ…」

ふたりの間にしばらく沈黙が流れたあと

「「……は？」」

取っ組みあいの喧嘩になるのに1分もかからなかった