Psycho-2 (ページ11)

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メイドの彼女に会いに行こうページ11

「ここか……」

俺は今、不良に最も不釣り合いと言っても過言ではない場所にいる

そう……

「メイド喫茶」

男のロマン！

影山から聞き出した情報によると、Aさんはここでアルバイトしているらしい

(Aさんのメイド姿………)

感激で心身ともにじーん…と震える

しかし

(どうする俺…ひとりで入るのは厳しいぞ、これ)

なかなか入店できずにさっきから入り口前を右往左往している

そもそも中に入ったところでAさんがいるとは限らないのだ

(ちくしょう、影山にもっと詳しく聞いとくんだったぜ……)

今日は諦めるしかないか、と体の向きを反転させたその時

「あれ、お前……前会ったことあるよな？」

いつかの赤毛のガキが馴れ馴れしく声をかけてきた

背格好は相変わらずだが、なぜかレジ袋を片手に持っている

(こんなやつでも母ちゃんにおつかい頼まれたりすんだな…)

普段ならガンを飛ばすところだが、今の俺にはそいつが幸運の天使に見えた

(よし、こいつをダシに、なんとしてでもメイド喫茶に……！)

「いやー、久しぶりだな！元気してたかー？」

とりあえずはっはっはー、と笑いながらそいつの肩に手を回す

「な、なんだよお前…馴れ馴れしい…」
「まーまー、とにかくお茶でもどうだ？
…っと！なんと偶然にも喫茶店が目の前にあるじゃないかー！いやー、これは間違いない神様が俺達にここに入れと言っているんだなーよーし、入るかー！」

早口にそうまくし立て、ぐいぐいガキの背中を押す

「ん？喫茶店ってメイド喫茶のことか？」

どきっ！

心臓が跳ね、汗が滝のように流れる

(いくら目の前にあると言ってもメイド喫茶は不自然だったか……！？)

「ちょうどいーや、俺も今からあそこ入るつもりだったし」

ほら、早く行こーぜとガキが急かしてくる

(まさかこいつ…そっち側の人間だったのか！？)

人は見た目によらないものだ
こんな非行少年を絵に描いたようなガキがメイド喫茶に行くだなんて誰が思うだろうか

「あ、そういえばまだお前の名前聞いてなかったな
俺はショウ」

「…あ、ああ
俺は鬼瓦天牙、鬼の天牙で通ってる」

「そかー、よろしくな天牙」

「は！？
お前「さん」ぐらいつけろよな！？！！」

「別にいいじゃねーかよ、名前ぐらい」

「ったく、礼儀を知らねーガキはこれだから……」

(まあいい
今は何よりもまずAさんだ…！！！！！)