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五条「あー、ひとまずいいや。一気に色んな奴と会わせても混乱すんだろ」
夏油「そんな配慮ができるとは成長したな」
俺は上層部に不信感があって。
1年前、『天元様』に関わる任務に傑と就き、天内という少女を守ることができなかったことがある。
そもそも『天元様』の指名とはいえ、あの任務をいち生徒にやらせることも疑問が残っているし、
あの脳筋担任が上層部のアホ共にAのことを報告したら、何も知らない彼女に洗脳することから始めるかもしれない。
だからせめてAに力が付くまでは、俺たちで見守ってやりたいと思うんだ。
家入「ま、五条の言いたいことはわかったわ。ところで服とか買いに行かないとじゃない?家には戻れる?」
五条「マンションの最上階はグッチャグチャ。なんも残っちゃいない」
「…」
夏油「悟」
五条「っと、悪い」
傑から「そんな言い方をするな」と咎められハッとした。
両親を失っただけではなく、思い出すらも残っていないだなんて事実を、今伝える必要はーー確かにない。
「いえ、いいんです。でも」
五条「?」
「買い物、いきたいです。あとその前にマンションに寄ることはできますか」
五条「……ああ、わかった」
「あ、でも私お金が無くて…」
五条「金のことは心配すんな。つか、遺産入るだろ」
夏油「おい、だからそんな言い方をするな」
五条「だぁーもぉー、こーゆーの慣れてないんだっつぅの」
「私は大丈夫です。でも、遺産が私に入るか不安で」
家入「どゆこと?」
「身寄りがないと言いましたが、親戚はいるんです。でも、お父さんとお母さんが遺したものを私にちゃんと渡してくれるか……」
ああ、なるほどね。
そういう闇を見たわけだ。
恐らく、Aの両親と親戚との間で、金銭トラブルがあったのだろう。
で、こいつはそれを見て親戚を頼りたくないと言ったのか。
五条「そういう心配ならいらない。五条家に腕の立つ顧問弁護士がいる」
家入「ひゅー!さっすがぁ」
五条「お前の両親が遺したものを、お前が嫌いな奴らに渡したりしないようにする。だから安心しな」
遺書があれば一番だけど…んで遺留分はしゃーないとしても…と頭の中で考えていると、Aが初めて俺の前で微笑んだ。
「五条さん、何から何までありがとう」
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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時