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「あ、そっか。さっき術式使ってないんだった」
伏黒「…ナチュラルに煽ってくるのムカつく」
恵くんはキッと私を睨む。
でも、その言葉に私はまた…傑さんのことを思い出してしまって。
そしてきっと、先生も。
伏黒「…？」
「あ、なんでもないの。術式は…そのうち教えるね」
伏黒「チッ、勿体ぶりやがって」
五条「口が悪いなぁ。ごめんA、僕これから会議に出なくちゃいけないんだ。恵のこと、よろしく頼む」
「はい！仲良くします！」
五条「ははっ、いいね。じゃ、恵、真面目にやるんだよ〜」
恵くんは不貞腐れて座ってしまっている。
小学１年生くらいだろうか。お金がたくさん必要な理由が何なのかはわからないけれど、本当は素直で良い子な気がする。
そして、一瞬でいなくなってしまった先生。
最近、会議と言って出かけることがとても多くなった。
硝子さんの話では、”五条家”として、そして”五条悟”として、特級呪術師が呪詛師に堕ちてしまったことの対処をしているらしい。
親友が突然いなくなってしまったのに、気丈に振舞って、口調まで変えて。
先生が私に頼み事をすることは滅多にない。
だから、目の前にいる恵くんと精一杯鍛錬しようと心に誓った。
ふんっ！と１人で息巻いていると、恵くんは「ふーん」と言いながら立ち上がった。
「？」
伏黒「惚れてんだね、五条さんに」
「……へ？」
伏黒「しらばっくれてもムダ」
時が止まった気がした。
惚れてる？惚れてる…。
惚れる…？好きってこと？私が先生を。
「いや、そんなこと、ないよ？」
突然何を言うんだろうこの子は。
私が先生を好き？
そんな、先生は、先生で。
伏黒「じゃあ五条サンのこれからの予定、本当は会議じゃなかったらどう思う？」
「会議じゃない…って、え？」
伏黒「本当はカノジョに会いに行くとか」
――もや。
「モヤっとする」
伏黒「ホラ、好きじゃん」
「いやっ、違うよ。嘘つかれていることに対してモヤっとするの」
伏黒「ふーん、ナニしててもいいんだ、じゃあ。あんま過激なこと言うと怒られそーだけど、裸になってやらしーことしてるかも」
「…やめて」
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作者名：佐々 | 作成日時：2021年1月20日 13時
