・ ページ26
五条「…?」
「私も、傑さんが大好きです。どうしてって思ってる。でも、傑さんには『他人に救われる準備』ができていなかった」
五条「…」
「言ってたんです。傑さん…。『私たちがいくら頑張ったところで悟1人には勝てない』って。私はこう捉えてます。傑さん、寂しかったんじゃないかな。でも、同期の先生や硝子さんに弱音を吐けなかった」
五条「〜〜〜〜…っ」
灰原の時もそうだったけど。
俺は、どんだけAに救われるのだろう。
押し寄せる後悔の波が、彼女の存在で堰き止められ、グッと踏ん張って立っていられる…そんな感覚だった。
「悲しい…悲しいけど、傑さんがもし、いつか、弱音を吐くことがあったら。その時は助けてあげたい。だから私も先生に負けないくらい強くなります」
五条「ナマイキ」
そう言って、俺はまたAのことを抱きしめた。
前に教えたはずだ。呪術規定の話を。
呪詛師になった傑のことは、処刑しなければならない。
それでも『助けてあげたい』と言った彼女は、誰よりも強いのだと思った。
――――
俺だけ強くても駄目だ。
俺が救えるのは、他人に救われる準備がある奴だけ。
Aは物事の分別がつくし、自分で考えられる子だ。
そんな呪術師がもっと増えれば、この世界は変わっていく。
だから俺は、禪院の置き土産を育てることにした。
.
547人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時