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五条「…?」



「私も、傑さんが大好きです。どうしてって思ってる。でも、傑さんには『他人に救われる準備』ができていなかった」



五条「…」



「言ってたんです。傑さん…。『私たちがいくら頑張ったところで悟1人には勝てない』って。私はこう捉えてます。傑さん、寂しかったんじゃないかな。でも、同期の先生や硝子さんに弱音を吐けなかった」



五条「〜〜〜〜…っ」




灰原の時もそうだったけど。


俺は、どんだけAに救われるのだろう。


押し寄せる後悔の波が、彼女の存在で堰き止められ、グッと踏ん張って立っていられる…そんな感覚だった。




「悲しい…悲しいけど、傑さんがもし、いつか、弱音を吐くことがあったら。その時は助けてあげたい。だから私も先生に負けないくらい強くなります」



五条「ナマイキ」




そう言って、俺はまたAのことを抱きしめた。


前に教えたはずだ。呪術規定の話を。


呪詛師になった傑のことは、処刑しなければならない。


それでも『助けてあげたい』と言った彼女は、誰よりも強いのだと思った。






――――





俺だけ強くても駄目だ。

俺が救えるのは、他人に救われる準備がある奴だけ。



Aは物事の分別がつくし、自分で考えられる子だ。
そんな呪術師がもっと増えれば、この世界は変わっていく。



だから俺は、禪院の置き土産を育てることにした。






.

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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時

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