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ページ25

そうか。そうだよな。


それが”動機”。

でも、きっともっと前から兆候があったはずで、そして俺も呪詛師(あちら側)に行って
いたかもしれないんだ。


やっぱりAに会いに来てよかったと思った。


こいつがあまりに泣くから、俺は逆に冷静に物事を考えられる。



そして思った。


俺だけが強くても仕方がないのだと。




五条「Aは、俺に救われる準備があったから今こうしてるんだもんな」



「え?」



ボソ、と聞こえないように呟いた。

Aを強くする。そして守る。このクソみたいな呪術師界をリセットする。



そのためには、この出来事をAに語らなくてはならない。




五条「1年くらい、前かな。救えなかった女の子がいるんだけどさ」



「1年前…」



五条「宗教団体と任務で関わった。女の子には懸賞金がかかってて、俺と傑は彼女を守ることができなかった」




忘れたくても忘れられない出来事。


禪院甚爾との死闘の末、一度死にかけて俺の術式は完成により近いものになった。


でも、天内理子を守ることはできず、彼女は死んだ。


その死体を持ち帰る時の、一般教徒たちの不気味な笑み。




五条「皆殺しにしてやろうと思ったね」



「でも、しなかったんでしょ…?」



五条「止めたのは傑だ。止めてくれなければ、やってたかもしんねえなぁ」



「傑さんが…」




傑は”意味”を大切にしていた。

あの宗教団体の教徒たちを殺すことに”意味”はないのだと。




五条「でも、傑が苦しくなったんだろうなぁ。あの日から。誰のために自分が戦えばいいのか分からなくなったんだろ」




呪術師は選ばれた存在で。

強者(術師)弱者(人間)を守るべき存在だ。



そう言い聞かされた俺たちは、呪霊を祓って、祓って、祓いまくる。



それだけの日々に、”意味”を求める傑が苦しくなるのは至極当然とも言える。





五条「―――兆候は、あったはずだ…!俺がっ…気づけなかった…!!!」



テーブルにどうしようもない怒りをぶつける。
Aは驚きもせず、俺の手を握った。



「違うよ、先生…それは違う」



五条「違くない。最近痩せたこととか。灰原が死んだ後とか。俺たちはお互いの任務が忙しくて話せてもいなかった」



「それは先生のせいじゃないでしょ?…さっき言ってたじゃないですか。『救われる準備』の話」




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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時

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