休日のお父さん ページ10
蘭丸「な、何を!
勝手なことを言わないでください!」
詰んだ、と頭を抱える晋作達を他所に、蘭丸は勢い良く立ち上がる。空の湯飲みが、畳に転がった。
信長「決まりだ。明日からで良いな」
蘭丸「……っ!」
酷く動揺した様子を見せるものの、信長は気にする素振りもなく、背を向け広間を出ていく。その姿を見送る蘭丸は、傍目からも分かる程に、わなわなと肩を震わせていた。
イナバ「あ、あれ?おれ、なんかまずいこと言ったか……?」
晋作「いや…そんなことはないと思うが」
晴明「それより、私達はどうにかしてAさんが小姓の役目を果たせるようにしなければ……」
青ざめる蘭丸の横で、晋作達はこの危機的状況を如何にして乗り越えるか話し合う。
(……面倒なことになってるなぁ)
そんな光景を眺めながらも、Aはただ、他人事のようにそう考えることしかせずに居た。
*
太陽が昇らないこの世界は、早朝でも、空は夕方のようなぼんやりとした茜。夜の闇さえ混ざって見える。
「……っ」
織田信長の城。とある一室。
障子の隙間から漏れ出す茜色に、眠ったままのAは微かに眉根を寄せた。布団を頭の上まで引き上げ、光から逃げようとする。
しかし、穏やかな朝は突如として終わりを告げた。
イナバ「起きろ巫女ぉおおーーー!!」
「ぐっ……」
晋作「さっさと起きろ!朝メシ食いっぱぐれるぞ!」
耳元で響くイナバの大声と、晋作によって容赦なく引っぺがされる布団。子供に叩き起こされる、休日のお父さん状態。
「嫌だ……眠い…」
晋作「ほら、立て。立って顔洗って来い!」
「無理…吐きそう……」
晋作「厠行け厠。顔洗って着替えたら、髪解かしてやるから」
ぐずるAを無理矢理立たせ、ぐいぐいと背中を押して歩かせる。
いつも隈を付けた眠そうな顔をしていることから推測できるが、Aはとても朝に弱い。
超低血圧である。
更に言えば、寝付きも悪く、夜はほとんど眠れていないらしい。
どうしても微かな物音が気になってしまい、眠れないそうだ。意外と神経質なのかもしれない。
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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ささかま | 作成日時:2019年9月21日 17時