和解 ページ49
蘭丸「何というか……A殿は、大人びた考え方をしますね」
「ボクからしたら、森くんの方が大人びてると思うけど」
蘭丸が、観察するかのようにじっとAを見つめる。Aも濁った目で見つめ返している……と。
前触れもなく、ふっと。蘭丸が小さく微笑む。
蘭丸「変わった人ですね。
あなたは」
「そう?」
蘭丸「……私のことは、蘭丸と。見た所、A殿と私は年が近いようですし。友人のように接してください」
周囲が呆然とする中、蘭丸はAに背を向け屈み込む。
「……」
蘭丸「城まで背負いますよ。
病み上がりですし、A殿はいつも晋作殿に背負って貰っているでしょう?」
どうやらおんぶをしてくれるらしい。
急な展開に晋作達は付いて行けないが、Aと蘭丸はなんとなく理解し合っているようだ。Aも遠慮する素振りなど微塵も見せず、蘭丸の背に寄り掛かる。
「…蘭丸」
蘭丸「はい?」
「ボク、晋作が体力馬鹿に見えたからおんぶ頼んでた。
安倍さんは、なんか華奢でおんぶしてもらうの心配だったから。
……蘭丸、安倍さんより小柄なのに、大丈夫?」
イナバ「巫女はそんな理由でおんぶしてもらってたのかよ!?」
晋作の肩に齧り付き、鋭い突っ込みを入れるイナバ。
既におんぶをしてもらっているのにも関わらず。男としてはコンプレックスに成り得る身長や体格について、容赦なく攻めるA。
その証拠に、流れ弾の晴明がカチンと来たような顔をしている。
晴明「Aさん、やけに背負ってもらう際に晋作に強請るものだなと思ってはいましたが、私が華奢だからという理由は納得できませんね。
晋作が体力馬鹿だというのは認めますが」
晋作「認めんな。オレだって疲れる時は疲れるわ」
迷惑極まりない、といった顔で晋作が晴明を睨む。その横では、蘭丸がムッとした顔でAに捲し立てている。
蘭丸「A殿。
確かに私は、華奢で箸よりも重いものを持ったら骨折してしまいそうな、儚い雰囲気を纏った晴明殿よりも小柄ですが。
男として、貴女一人を背負うことができない程落ちぶれてはいません。日々、鍛錬も積んでいますし。
それに身長はこれから伸びますから!まだ成長期が来ていないだけですから!!」
「そっか」
晴明「待ってください蘭丸くん。私が箸よりも重いものを持ったら骨折しそうだというのはどういうことですか」
詰め寄る晴明。
蘭丸も大概失礼である。
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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ささかま | 作成日時:2019年9月21日 17時