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連帯感 ページ43

農民「隣村の若い連中が、船を壊そうって海岸に行っちまったらしい……!」


蘭丸「えっ……!」

農民2「船を壊すって、何でだよ!?」

駆けてきた農民の言葉に、ざわめきが広がる。




晴明「……思いが伝わっていないのでしょう」

蘭丸「っ…!」

静かな声で言う晴明。
蘭丸はその声を聞くと同時に、弾かれたように走り出した。




イナバ「蘭丸〜!」

晋作「オレ達も行くぞ!!」

晋作の怒鳴り声を合図に、A以外の全員が揃って駆け出す。


汗と泥の臭いを放つ、大勢の農民達も。

何故か「うおおおお!!」と雄叫びを上げ、戦でもしに行くかのように鍬を掲げている。
晋作の怒鳴り声に釣られたのだろうか。





(血気盛んなこと……)

ぽつーんと畑の中に立ち尽くすA。遠ざかっていく群れを眺めながら、気の抜けた欠伸を一つ。




(追いかけるの、面倒。
帰ろっかな。でも、城まで歩くのも嫌だし…)

ぼんやりと空を仰ぐ。
……と、此方に向かって走ってくる一つの足音が。



晴明「Aさん」

「……」

漆黒の髪と菫の羽織を靡かせ、Aの前までやって来る晴明。

走るの?やっぱり行かなきゃ駄目?と、Aが嫌そうな顔をしていると、晴明はそっとAの腕を取る。





晴明「手を引いてあげますから。行きますよ」

「……」

晴明「ほら。頑張って。
なるべく貴女が疲れないようにしますから」

小走りで、腕を引かれる。
こうなればもう、走るしかない。
Aはげんなりとしつつも、幼稚園の先生宜しくの晴明に腕を引かれ、しぶしぶと走り出した。







「…っ、はぁ……げほ」

Aと晴明が海岸に辿り着くと、そこには農具を手にした沢山の若者が集まっていた。
辺り一面には、耳を覆いたくなるような罵声や怒鳴り声が響き渡っている。




若者1「信長様にはもう我慢できねえ!」

家臣「無礼者!!下がらんか!」

(我慢できないって言いつつ、信長サマには様付けするのか)

ぜえはあと晴明の隣で息を吐きながらも、雰囲気を崩すような突っ込みを入れる。未完成の船の前に立つ家臣達は、刀の柄に手を掛けていた。





蘭丸「皆さん、何を……何をしているのですか!」

若者2「こんな鍬なんて寄越して何のつもりだ!船と言いこれと言い、贅沢ばっかしやがって!」

一人の若者がそう叫び、真新しい鍬を投げ捨てる。

その鍬は、先程まで畑で蘭丸が持っていたものと同じもの――信長が贈った鍬だった。

一触即発→←元気なおじいちゃん



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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささかま | 作成日時:2019年9月21日 17時

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