眠りましょう ページ33
蘭丸(……まるで、夜に呑まれてしまいそうだ)
闇に溶ける。漆黒に消える。
見ていると、不安になってきて……思わず、手を伸ばす。
蘭丸「巫女、殿……」
「…？」
ゆらりと振り返った瞳と目が合う。
濁った赤は、蘭丸には乾いた血の色のようで――。
蘭丸(あと、少し。手が届く)
そう思った直後。
【ぐらり】
(あ……)
蘭丸「っ、巫女殿！？」
【どさり】
(きもち、わるい)
体が傾く。
伸ばされた手は、倒れかけた体を抱き止めた。
蘭丸「大丈夫ですか巫女殿！
……巫女殿？」
だ…ぶ、……か…の。……？
音が途切れる。世界はぐにゃぐにゃと歪んでいる。声を出そうとするも、はくりと意味のない息が零れるのみ。
(ゆれ、てる……)
蘭丸「っ…！巫女殿、しっかりしてください！私の声が聞こえますか？聞こえたら手を握って！」
薄く開かれた目。
明らかにその焦点が合っていないのを見て、事の重大さを察する蘭丸。
華奢な手を柔く握るが、握り返される気配はない。
その癖、青ざめた顔には汗が浮かび、体は小刻みにカタカタと震えている。
(あたまいたい。
きもちわるい。
……ねむい)
【ぷつん】
テレビの音を消すように。
一瞬で。
蘭丸「っ、巫女殿！？しっかりしてください巫女殿！！」
意識が落ちる前、あの真面目な小姓が焦ったように何か叫んでいた気がしたが……。
いいや、どうせ分からない。
【……おやすみなさい】
＊
織田城内はパニックに陥った。
なにせ、太陽の巫女が倒れたのである。
すわ敵襲か、式神の影響かとざわつき始めるギャラリー。
もし敵襲となれば城内の警備が甘い、または内通者が居るということとなる。式神の影響であれば、唯一の希望である太陽の巫女が打ち倒されたとも言えるだろう。
一先ず第一発見者の蘭丸は、倒れたAを小雪に乗せ。
大慌てで城へと駆け戻り。
周囲が騒然とする中、医者を呼び寄せ。
晋作達と共に、Aの診断をする様を見ている。
イナバ「巫女〜…」
蘭丸「っ……」
蘭丸達は固唾を飲んで見守る。
医者はAの瞼を上げ瞳を見たり、皮膚を強く押して変化を観察したりしていたが……しばらくして、端的にこう言い放った。
医者「眠っているだけですね」
晋作「はあ？」
医者「軽度の栄養失調が見受けられますが、それ以外に異常は見当たりません。眠っているだけです」
きっぱりと、言い切った。
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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (
レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ささかま | 作成日時：2019年9月21日 17時
