UMA ページ31
「……寝れないから、散歩でもしようと思って」
蘭丸「はい」
「この前の海に、いこうかなって」
蘭丸「はい」
「でも、距離それなりにあるし……だらだら歩くの嫌だから。家臣の人に言って、馬借りてきた」
蘭丸「……巫女殿、まさか馬に乗って行くつもりですか？」
「そうだけど」
さらりと言う。
蘭丸は頭を抱えた。
Aの世界には、馬に乗る習慣がないという。それはつまり、こんな華奢な女子であるAも当然馬に乗ったことがないはずで。
その経験ゼロの女子が、歩くのが嫌だという、ただそれだけの理由のために馬を使おうとしている訳で……。
蘭丸「巫女殿。落馬というのは、当たり所が悪ければ死に繋がります。そうでなくとも、腕を折ったり、驚いた馬に蹴られたりと、怪我を負うものです。
馬に乗ったことのない巫女殿が無理をして怪我をなさっては、晋作殿達が心配――」
「森くん」
蘭丸「はい？……っ、え？」
名前を呼ばれ、顔を上げる。見ると、先程までそこに居たはずのAの姿はなく――。
蘭丸(っ、ええっ！？)
思わず目を剥く。
嘶く素振りすらない、相変わらず静かに佇む小雪を見ると、そこには。
「君は、ボクが馬に乗れないと思ってる。だけど、馬には普通に乗れるよ」
しゃんと背筋を伸ばし、平然とした顔で手綱を握るAが跨がっていた。
蘭丸(……今日は、この人に驚かされてばかりだ)
開いた口が塞がらない。
現に、当初の目的は頭から半分すっ飛んでいる。
当初の目的は……私はこの人に謝らなければならないことがあって――ああ、そうだ！
蘭丸「巫女殿っ！私は、貴女と話がしたくて……っ！」
「じゃあ、もうボクいくね」
蘭丸「はっ！？巫女殿、待ってください！時間は取らせませんから――って、ああもう！」
目的を思い出した蘭丸が声を掛けるも、Aは無視して小雪を走らせる。
今回この流れ多くないか！？
こっちが言い掛けている途中に、なんらかのアクションを取られて度肝を抜かれるパターン！
というか速っ！普通に速い！！
神経質な小雪をあんなに巧みに操るとか、巫女殿結構乗り慣れてるだろ！
蘭丸「ま、待ってください巫女殿！夜分に一人で外に出るなど、式神が出たら一体どうす……ああ、もう！！」
大声で言うが、白馬に乗った眠り姫は既に遙か遠く。
蘭丸はヤケクソのように叫びながらも、勢い良く走り出した。
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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (
レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ささかま | 作成日時：2019年9月21日 17時
