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理解の範疇 ページ29

農民2「鉄砲ですよ村長!!」

蘭丸「……!」

村長「なっ!?鉄砲だと!?」

農民2「はい!
あの女が言ってました!
模擬戦で鉄砲が使われてなかったって!鉄砲を溶かして農具にしたに違いねえって!!」

農民2は感情の読めない目で佇むAを指差す。Aは晴明の羽織を手に、ことりと首を傾げて見せた。





晴明「成る程……鉄砲に使われている鉄は、最上級品」

村長「鉄砲を農具にするとは……!
ワシらのために、そこまで……!!」

蘭丸「っ……!」

村長のその言葉がトドメになったかのように、蘭丸は震える体で地面に膝をついた。





蘭丸「織田軍の繁栄は、鉄砲あってのこと。それを手放されるのは、どれ程のご覚悟だったか……!」


誰よりもお傍にありながら、私はそんなことも分からず……!

絞り出すような声と大きな目に湛えた涙が、蘭丸の胸中を物語る。





蘭丸「信長様を信じていれば間違いない……そんな風に考えて、御心を理解しようともしなかった。
……巫女殿。こういうことだったのですね。私の忠義が盲信だというのは」

「……」

蘭丸「本当にあの方を想うなら、あの方の力になりたかったのなら……。
私は、私は――」

蘭丸は下唇を噛み締め、鍬を振り上げ何度も地面に振り下ろす。その姿は、まるで何かを振り切ろうとしているかのように見えた。







その夜。



蘭丸「……」

まだ眠るのには早い時間帯。
泥と汗にまみれた体を流し、後は明日の支度をするなりして時間を潰すという頃。蘭丸は、自室の襖を静かに開く。




蘭丸(今まで私は、巫女殿に忠義を否定されたことに対する怒りで、ずっと心ない態度を取ってしまってしまっていた。
足りないものが何なのか知りたいと、渋い顔をする巫女殿に頼んだのはこちらなのにも関わらず……。
その上、今日まで巫女殿の言葉の意味を理解できず、また諭していただくことになるなんて……)

溜息をつき、廊下に足を踏み出す。




蘭丸(謝りたい。散々悩んだけれど……今は、その想いが強い。本来ならまだ早いとは言え夜中ではなく、日を改めて来るべきなのだろう。
だが、なるべくすぐに謝りたい。誠意を見せたい)

トス、トス、と一定のリズムで足音が響く。




蘭丸(しかし、やはり夜に女性の部屋を訪ねるのは無礼では…?私と年齢は近いものの、巫女殿も年頃の娘だし……。
ああ、でも……)

Aの部屋が近付くにつれ、足音が戸惑いがちに揺れる。

夜這いではない。→←忠義



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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささかま | 作成日時:2019年9月21日 17時

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