大人 ページ20
良くも悪くも、真っ直ぐな言葉。
それらが、隠される素振りすらなく、気怠げな少女の声によって語られる。
「太陽が沈んだことから目を逸らしたいから、信仰の対象を作り上げて、自分は考えることをやめてる。『理解することは難しい』じゃなくってさ、『そもそも理解しようとする努力をしていない』でしょ？
考えないで、言われたことをやるだけ。その方が楽だもんね。
……そんなのは忠義じゃない。
気持ち悪いだけだよ、それ」
蘭丸「っ……」
蘭丸は、自分の忠義を否定されたことに対する怒りか、唇を噛み締め、震える拳を白くなるまで強く握っている。
頬には赤みが差し、鬼気迫る気配は今にもAに掴み掛かりそうな程だ。
晋作やイナバが、流石に言い過ぎだとハラハラした様子でAに視線を向けるが、Aは開き直ったのかスンとしている。
だって、ボクは聞かなかったことにしろって言ったし。
それでも聞きたいって言ったの森くんの方でしょ。
ボクは「言え」って言われたから、思ってること正直に言ってるだけだよ。
蘭丸「……」
イナバ「ら、蘭丸……」
おずおずとイナバが顔色を窺う。蘭丸は目を閉じてゆっくりと息を吸うと、険しい表情と共に、感情を抑えつけた声で一言口にする。
蘭丸「……巫女殿、続きをお願いします」
「……」
相手の話を遮って、爆発するようなことなどしない。自制の効かない子供では無いのだから。
……真面目で、礼儀正しい少年だ。
「……もう一つ。
信長サマは君に、太陽を取り戻す旅に行ってほしいと思ってる。
君がすることは、どうして信長サマが自分に旅に出てほしいと思っているのかを考えること。
もうお傍に置いてもらえないの？って悩むことは間違い。
笑顔でいつも通り小姓の仕事をすることも間違い。
そもそも信長サマは、君はもういらないとか言ってない。
君に、自分の頭で考えてほしいだけだよ」
蘭丸「……」
前半で辛い部分は言い終えたのか、後半は少し緩やかだ。
……それきりAは口を閉ざす。
きっと酷く激高するだろう。
自分が忠義だと思っているものを馬鹿にされたのだから。
現に、Aに続けるよう促した声には、抑えきれない怒りが滲み出ている。
忠義のために、どうしてそんなに怒れるんだろう…とAは不思議に思うが、価値観には差がある。
Aからしたら理解できないことでも、蘭丸にとっては命を投げ出せる程に重要なことだ。
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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (
レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ささかま | 作成日時：2019年9月21日 17時
