危険信号 ページ19
蘭丸「どういう、ことですか……」
「いや……」
蘭丸「それ、というのは、信長様に対する私の忠義のことですか?」
「独り言。だから、聞いてなかったことにして」
Aはたじたじと目を逸らす。意識して言ったものではなく、つい口から出てしまったらしい。ばつが悪そうな顔をしている。
しかし、目の前には、抑揚のない声で詰め寄って来る蘭丸。
その表情は、ふつふつとした怒りを抑えている。ここに何かを言った所で、火に油を注ぐようなことにしかならないだろう。
蘭丸「教えてください。
その口調からして、あなたは私の何が信長様の意に沿わないのかも、ご存じなのでしょう?」
「……」
蘭丸「巫女殿!!」
晋作「おい止めろって!」
声を荒げる蘭丸の腕を、焦った様子の晋作が掴む。
が、蘭丸は、これまでの礼儀正しい態度からは想像の出来ない乱暴さで、その手を振り解いた。
蘭丸「すみません、晋作殿。
ですが、私は巫女殿に話があるのです。邪魔をしないでいただけけますか?」
怖い。
雑巾がけの時に、可愛らしくぷいっと視線を逸らした君はどこへ行ったの?
これはもう、Aが何か言おうが暴発するし、言わなければ言わなかったで怒り出すだろう。
選択肢に慈悲がない。
どっちにしろ死ぬ。
「……」
蘭丸「巫女殿」
低い声で再び名前を呼ばれる。これはもう無理。
限界。
身動きすれば斬られそうな程の緊張に、周囲が息を呑む中。
「……後で、文句言わないでね」
Aは溜息をついて、淡々と言葉を並べ始めた。
「君の忠義っていうのは、盲信じゃないかなって」
蘭丸「……」
「『信長様のすることに間違いはない』とか『信長様の示してくださる道を信じて着いて行けば良い』とか。
あと、『あの方の頭の中にある未来を、全て理解することは難しい』。
君が自分の頭で考えてないよね。無条件に信長サマを信じていればいい、ってだけで。
洗脳?宗教みたいにも思えるよ。
ただ肯定するだけ。何を言っても『はい!』って頷くだけ。
空っぽで、操り人形みたい」
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ささかま(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。以後、気をつけます。 (2019年9月21日 17時) (レス) id: b0b2c550c2 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下の注意をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1e7c2ecc39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ささかま | 作成日時:2019年9月21日 17時