＊ ページ21
「涼太、聞いてた？」
「…そんな事…言ったかも。」
キッチンの方で新メニューの試食会を行なっていた宮舘と佐久間と渡辺。
先程の目黒たちの会話を盗み聞きしていた渡辺が宮舘に尋ねた。
「貴族の感覚、分からないなー。めめが理由、知りたがってるよーん。」
「…うーん……第一印象っていうか…目黒は……寂しそうだったから……似てた。」
「涼太が引っかかる点が出会った時にあったって訳ね。俺は睨んでたとか、マジで痛い奴じゃん。」
コクリと頷く。
佐久間と渡辺が揃って目を丸くしている。
「貴族、翔太が痛いって所も含めて頷いてんぞ。」
「聞き捨てならないぞ、涼太。」
「……目黒。」
宮舘は目黒を見て寂しそうな目をしていた。
宮舘には見えない所で渡辺は同時に冷めた目をしていた。
すると、営業時間前なのに扉が開いた。
皆んながドアに視線を向けている。
「恋人の彼を殺してほしいんです。」
「…へぇ、恋人からの依頼ー初めてだねー。」
深澤がニヤニヤと笑っている。
岩本が「ふっか、ニヤニヤすんな」と注意している。
「愛憎って言うからね。」
阿部がしみじみと語る。
まるで恋愛経験のあるように見えるが、佐久間が慌てて「阿部ちゃん、恋人居ないのに謎の説得力」と騒いでいる。
「私を愛してくれなくなった挙句、3人、別の恋人が居るんです！別れる時は罵られて…酷いと思いません？」
「壮絶な別れ際やな！」
「ちょっ、康二くん、それ逆効果ですよ。」
向井がノリノリでつっこむ。
それをラウールが空気を読んで注意する。
目黒は黙って彼女を見つめている。
「お願いします！彼に天罰を、裁きの鉄槌を！」
「何や俺らを宗教やと思てるん？」
「まあまあ、落ち着いて。ひとまず、色々と伺って話を聞いてから我々が判断しますので座って下さい。舘さん、お茶、お願い。」
深澤が誘導し、空気を変える。
彼女が来てから沈黙を貫いていた宮舘との息も合い、すぐにレモンティーが出された。
事情を丁寧に聞き、深澤は仕方無く、この依頼を了承しようとした時、目黒が動いた。
「…愛されただけマシじゃないっすか。」
「め、めめ？」
「めめきゅん、どないしたん？め、目が怖いんやけど。」
「…だからさ…愛が憎しみに変わるなんてあるでしょ。それを乗り越える人間は世には沢山居るのに…簡単に殺すとか言って依頼されても困るんすよ。」
今まで温厚だった目黒の闇の一面を目撃した瞬間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤雪(プロフ) - ぴょんさん» ぴょんさん、コメントありがとうございます！その言葉が励みになります！ダークなスノをこれからもお楽しみ下さいませ！ (2020年1月1日 21時) (
レス) id: 0a305638c7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！ドラマ化して欲しいくらいです！！！笑更新大変だと思いますが頑張って下さい！ (2020年1月1日 18時) (レス) id: dd2c5f7863 (このIDを非表示/違反報告)
赤雪(プロフ) - ショナモンさん» ショナモンさん、コメントありがとうございます！そう言って頂けて光栄です！自分のペースになってしまいますが、なるべく早く更新できるように頑張りますので、これからも宜しくお願いします！！ (2019年12月28日 23時) (レス) id: 0a305638c7 (このIDを非表示/違反報告)
ショナモン - はじめまして！コメント失礼します、このお話すごくおもしろくて好きです！一気読みしちゃいました。これからも更新楽しみにしてます！ (2019年12月28日 23時) (レス) id: 59745c2bc4 (このIDを非表示/違反報告)
赤雪(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます！！ぴょんさんの言う通り、次はめめこじをピックアップしますので、続きをお待ち下さいませ！これからも作品を宜しくお願いします！！ (2019年12月21日 17時) (レス) id: 0a305638c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤雪
| 作成日時：2019年12月16日 21時
