恋涙 1 S×R

恋涙 2 ページ2

・


先程の2人の会話がブラッシュバックする。


紫耀は、天然でおバカさんだが女性関係にはしっかりした考えを持っていて。

適当な人と遊んだりは絶対しない。
しっかり性格を知って、時間をかけて好きになってから付き合うタイプだ。


そんな紫耀だから、ここしばらく彼女は居なかった。


jrになって少しずつ有名になっていく中で、
ジャ ニ ーズの平野ってわかって近寄って来る女性はなんか嫌気がさす、
なんて言っていて。

わかるわー、なんて同意しながら、心の中では安心していた。


それなのに。



昔からの知り合いだなんて。
性格も何だか誠実そうだし。
しかも保育士ってイメージ良すぎ。
可愛いって言ってたし。



「・・・どー考えても勝てん」



流れる涙が止められない。


集合の声がかかったらしいが全く気づかず、
マネージャーさんが探しに来るまで、その場を動けなかった。






その日からというもの、
楽屋で3人だけの時には、
よく紫耀の彼女の話が繰り広げられるようになった。

紫耀が自分から積極的に話すわけではないが、海人が根掘り葉掘り聞きたかわるので
嫌でもその話題になる。

そんな会話を聞かされる度に
頭痛と吐き気がしてくる。

不自然にならないよう、表面上は会話に参加するが、本音ではそんな話1秒たりとも聞きたくない。

何かと理由をつけて、楽屋に居る時間を短くする毎日。




もう限界や・・・




少しでも楽になりたくて、ある人物にLINEを送った。









「うわああああーーーん」

「おー、泣け泣けー！」


賑やかな創作イタリアン店の個室。

周りも騒がしいのをいい事に、机に突っ伏して思いっきり泣きわめく。

向かえの席にはーーー同期であり、6年来の親友でもある、大吾が座っている。



大吾は、俺のこじらせた片想いを知る唯一の人物だ。

昔、大阪時代にみんなで遊んでいて、大吾と2人で帰り道の途中に
「廉って紫耀の事好きやろ？」と
直球で言い当てられた。

咄嗟にはぐらかそうとするも、察しのいい大吾の目は誤魔化せず。

そのまま2人で24時間営業のファミレスに入り直し、洗いざらい白状させられたものだ。



それ以来、たまに茶化されたりはしつつも、俺の悩みをいつだって真剣に聞いてくれて、励ましてくれる。


今日だって。


・

恋涙 3→←恋涙 1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す