銃口 ページ39
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男は銃口を、受付の十文字小夜子に向けた。
「来い」
さきほどまでの人の良さそうな表情ではなく、目の据わった不気味なほどに感情の見えない顔つきだ。睨まれた彼女は、悲鳴を挙げることもなくゆっくりと男に近付いた。視線だけは逸らさずに男を見つめている。
「この女を殺されたくなければ、逃走用の車を用意してもらおうか」
拳銃を構える高木を尻目に目暮に対してそう言った。目暮は奥歯を噛み締め、やがて頷いた。
「……分かった」
その場にいるほとんど全員が、男の隙を狙っていた。だがいかんせん、人質の存在が厄介なのだ。
「このまま外に出られたらまずいな。一般客と鉢合わせだ」
安室が小声で言った。彼の言葉通り、パーティーホールの外は、多くの客が出入りするフロントやエントランスもある。しかし下手に退避勧告などをすれば、犯人の怒りを買う恐れもあった。
そのことを男も分かっているのだろう。このパーティー会場は人が掃けてしまっているが、ホールの外に出れば人質の代わりなどいくらでもいる。あくまで繋ぎとして、十文字小夜子の華奢な首元に銃口を当てた。
緊迫した空気の中、目暮の携帯電話に着信があった。
「……ホテルの出口に車を用意した。彼女を放してもらおうか」
「確認が出来てからだ」
そう冷たく言って、男は女性を連れて部屋から出た。捜査員たちも一定の距離を保ったまま、それに続く。
あまりに歯痒い時間だった。あの銃さえなければ――だがチャンスはないこともない。エントランスに出たとき、人質を交換するとしたらその隙を突く。
静かなホールで、男はじりじりと後退りするように出入口に近付いていった。やがてエントランスに差し掛かると、男は急に彼女を突き飛ばし、駆け出した。
「あ……」
高木と目暮、それから弁護士の千野夕希が倒れ込んだ彼女を助け起こし、小五郎とコナンは女性の無事を確認すると、眉を吊り上げて犯人を追いかける。霧立と安室も当然それに続いた。
だが遅かった。犯人は既に別の人質を見つけてしまっていた。幼い女の子だった。
「歩美ッ！」
コナンが声を挙げた。知り合いのようだ。しかし彼といえど、拳銃相手には手が出ない。霧立は、歯噛みして右の太腿に付けてあったホルスターから拳銃を出し、構えた。
「その子を放せ」
その行動に安室は少し驚いたようだったが、小声で言った。
「人が多すぎる。犯人に命中したとして、流れ弾が……」
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夢主の趣味は読書。
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長谷夏子(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» コメントありがとうございます。そろそろ佳境ですので、更新頻度を上げて頑張りますね。よろしくお願いいたします。 (2018年11月10日 7時) (
レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーやっぱり私の頭では迷宮入りしてしまう殺人事件でした。次の話が待ち遠しいです。 (2018年11月10日 1時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 長谷夏子さん» そういえば書いてありましたね(汗) ちょっと頭を捻ってみます。 (2018年10月18日 20時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
長谷夏子(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» この作品にもコメントしていただいて、大変嬉しく思っています。名前には数字と時間帯を入れてみました。ネクストコナンズヒントは「ハイヒール」ですよ(笑)応援ありがとうございます。精進して参りますのでよろしくお願いいたします。 (2018年10月18日 18時) (レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - え、えーっ。そんないきなりそう聞かれても困っちゃいますね……名前に数字が入っていることくらいしか分かりません（涙） 犯人が誰なのか気になりますね。作者さんの作品全て応援してます！ (2018年10月18日 17時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長谷夏子 | 作成日時：2018年7月26日 12時
