収穫 ページ31
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「そういえば、エンゲージリングはしていないのね」
千野弁護士はのんびりとした調子で言った。
「ああ……指輪は断ったんだ。婚約指輪はいつもつけるものじゃないから、もったいないと」
「あら、記念にもらっておけばいいのに」
はは、と軽く笑った。学生の頃は、純白のウェディングドレスやきらきら輝く婚約指輪に憧れた時期もあった。もちろん今もその気持ちがないわけではないが、最優先にすべきことでもない。
「必要ないさ」
そのとき、刑事たちが難しい顔をしながら戻ってきた。
「いかがでした？」
「ええ、かなりの収穫がありましたよ。少なくとも、モール内を歩き回った価値はあったでしょう」
安室が愛想よく答えた。きちんとスーツを着ている姿で安室として応じられるのは、霧立にとってはかなりの違和感がある。いつもは眉間に皺が寄っていて、とてもではないが友好的そうな人物には見えないのだ。
「そうですか、それは何より」
安室は、得た情報を詳細に話してみせた。
クリーニング店でのことを説明している間は、霧立は安室の目を見ようとしなかった。
「そして、パーティーに参加していた社員から、新たな証言がとれたのです」
それはこういうことだった。
その証言は、会場内にいた一人の女性のものだった。彼女は秘書の一之瀬朝子の友人で、パーティーでは一緒にいたという。
「靴を履き替える、と言っていました。長い間、細いヒールを履くのはきついですから」
「社長に会うのに、わざわざ履き替えた、と？」
「ええ、そう言っていましたよ」
捜査員たちがホテル内を探すと、廊下の隅にあるゴミ箱の中に、黄色のピンヒールの靴が捨てられているのが発見された。靴の裏には、擦れたような血の後が黒ずんで残っている。そして、サイズは二十五センチだった。
「……なるほど」
聴き終えると、霧立は深く頷いた。
「その靴を見せていただけませんか？」
菜の花色のピンヒールは、有名な海外のブランドのものだった。クリーム色のリボンがあしらわれている、華麗なデザインだ。
重要参考人の三人にその靴を見せると、一人の人物が顔色を変えた。
「それは、私のものです」
震えた声で言ったのは、秘書の一之瀬朝子だった。彼女は初めて感情を露にし、必死の形相で訴える。
「しかし、私は社長を殺してなどいません！ 信じてください……」
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夢主の趣味は読書。
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長谷夏子(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» コメントありがとうございます。そろそろ佳境ですので、更新頻度を上げて頑張りますね。よろしくお願いいたします。 (2018年11月10日 7時) (
レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーやっぱり私の頭では迷宮入りしてしまう殺人事件でした。次の話が待ち遠しいです。 (2018年11月10日 1時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 長谷夏子さん» そういえば書いてありましたね(汗) ちょっと頭を捻ってみます。 (2018年10月18日 20時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
長谷夏子(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» この作品にもコメントしていただいて、大変嬉しく思っています。名前には数字と時間帯を入れてみました。ネクストコナンズヒントは「ハイヒール」ですよ(笑)応援ありがとうございます。精進して参りますのでよろしくお願いいたします。 (2018年10月18日 18時) (レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - え、えーっ。そんないきなりそう聞かれても困っちゃいますね……名前に数字が入っていることくらいしか分かりません（涙） 犯人が誰なのか気になりますね。作者さんの作品全て応援してます！ (2018年10月18日 17時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長谷夏子 | 作成日時：2018年7月26日 12時
