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証言 ページ30

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 その文面に、霧立は申し訳なさで胸が苦しくなった。彼の優しさにつけこんでいるこの状況に堪らなくうんざりした。

「まったく、嫌になる」

 彼女は苦々しげに吐き出した。



 ショッピングモール内のクリーニング店は、他の店と比べるとお世辞にも繁盛しているとは言えそうになかった。
 だがそれでも、聞き込みはしなくてはならない。ハイヒールを履いた女性に心当たりはないかと、受付にいる男の店員に尋ねた。

「ハイヒール……。そうですね、昼間にハイヒールの靴を受け取られた方なら、一人いらっしゃいました」
「ハイヒールを? どういうことです?」
「当店では服や靴の修理も、簡単なものならば承っております。とは言っても、踵の交換くらいですが」
「なるほど……、ではその人について詳しくお願いします」

 男の店員は、カウンターの下から分厚い冊子を取り出し、捲りながら考え込んだ。

「この方です、風見様とおっしゃっていました」

 その名前に、小五郎についてきていたコナンが反応した。

「ねぇお兄さん、その風見さんって、眼鏡をかけた背の高い男の人じゃなかった?」
「いいや? 確かに背は高かったけれど眼鏡はかけていなかったし、なによりその人は女の人だったよ」
「ちなみに、どんな女性でした?」

 店員は淀みなく答えると、刑事に向き直る。

「背が高くて、黒い髪をショートカットにしていました。あとは、足が真っ直ぐで長くて、綺麗だったことくらいしか……」
「靴のサイズはいくつでしたか」
「確か、二十五センチのものでしたよ。真っ赤なハイヒールです」

 顎に手を当てて考えるコナンの脇で、小五郎たちは視線を交わしあった。
 靴を持ち運ぶというのは、荷物も大きくなり目立つ。だが事前に靴をクリーニング店に預けておけば、その手間は省ける。その事実は、風見という女性に嫌疑をかけるには十分だった。

 一方で、安室は珍しく困惑した表情をしていた。そのハイヒールの靴は、色やサイズからしても十中八九霧立のものだろう。
 だが、風見と名乗ったのはどういうことなのか。風見というのは、彼女の部下の名にすぎない。単に偽名を使っただけなのか。
 またコナンも、この重要な証言を反芻し、推理を組み立ててゆく。だがやはり、噛み合わない部分がひとつだけあった。
 そんなもやもやとした疑問を胸に抱えながら、彼らは現場へと戻ることにした。


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収穫→←恋人


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夢主の趣味は読書。


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設定タグ:名探偵コナン , 風見裕也 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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長谷夏子(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» コメントありがとうございます。そろそろ佳境ですので、更新頻度を上げて頑張りますね。よろしくお願いいたします。 (2018年11月10日 7時) (レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーやっぱり私の頭では迷宮入りしてしまう殺人事件でした。次の話が待ち遠しいです。 (2018年11月10日 1時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 長谷夏子さん» そういえば書いてありましたね(汗) ちょっと頭を捻ってみます。 (2018年10月18日 20時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
長谷夏子(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» この作品にもコメントしていただいて、大変嬉しく思っています。名前には数字と時間帯を入れてみました。ネクストコナンズヒントは「ハイヒール」ですよ(笑)応援ありがとうございます。精進して参りますのでよろしくお願いいたします。 (2018年10月18日 18時) (レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - え、えーっ。そんないきなりそう聞かれても困っちゃいますね……名前に数字が入っていることくらいしか分かりません(涙) 犯人が誰なのか気になりますね。作者さんの作品全て応援してます! (2018年10月18日 17時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長谷夏子 | 作成日時:2018年7月26日 12時

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