・沖矢side ページ7
風呂をためてなかったので、シャワーで済まし、俺の服を着せてベッドへ寝かせた。
しばらくすれば暖まるだろう。その間にいろいろと準備をしておかなくては。
薬局へ行き、風邪薬と冷えピタシートとコンビニでゼリーやスポーツドリンクを揃える。
俺は最後に風邪をひいたのはいつか忘れてしまったし、これからも体調管理を怠らなければ引くことは無い。
看病の経験はないのだが、これくらい揃えれば足りないものは無いだろう。
家に戻り、寝室へと足を進めていくが、彼女が起きるまでそこで本でも読んでいようと思い、先に書斎へ立ち寄る。
お気に入りのコナン・ドイルの本を取り、今度こそと寝室へと移動するとドアの向こうから微かに足音が聞こえる。
しん、と常に静寂が漂う家だからすぐに気づいた。
もう目が覚めたのか、と思ったが割と時間は経っていたようだ。
顔を合わせたらまず、勝手に服をぬがせてしまったことを謝ろう。やむを得ないとはいえ赤の他人に服を脱がせられたのだ。少なからず不満は持つだろう。
そんなことを考えながらドアを開けると同時に、彼女がこちらへ倒れ込む。
思わず手に持っていたものを落としそうになり、少しよろけてしまったが、そんなことよりと今の状態を確かめる。
体温が異常に熱く、額を触らなくとも分かる。酷い熱だ。
これ以上風邪をこじらせてはいけない。早く応急処置を取らねば。
恐らく俺を認識する前に意識が落ちたのだろう。このまま倒れていたら最悪怪我も負っていたであろう。つくづくタイミングが良かったと思う。
抱き上げて再びベッドに寝かせ、額の汗を拭いてからシートを貼る。
すると、冷たさに反応した彼女はうっすらと目を開けた。
…？なんだ、この既視感は。
｢おかあさん…？｣
まだ意識が朦朧としているのだろう。目の焦点が合わず俺を見て俺を母と勘違いしている。
子が親を求めるのは当たり前のことだ。今はこのままにしておこう
咳はないから肺炎の心配はないな。ただこの状態だとあと2日は苦しいだろう。
一応大学の方には俺から連絡をしておかなくてはな。
肩で息をする彼女に声をかけ、頭を撫でる。
すると、心地良さそうに微笑んだ。
手を離そうとすると、すかさず掴んできて自分の頬へと寄せるしぐさはまるで幼子のようだ。
__ねえ、おかあさん
涙を流し、掠れた声で悲願するような視線をこちらに向ける。やっと目が合った。
きゅ、と手を握る力が宿る。
喋り方もあどけなくて、本当に___
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れりー - ガニモスさん» はじめまして。応援ありがとうございます。続編もよろしくお願いします。 (2022年5月15日 18時) (
レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
ガニモス(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく閲覧させていただいております。今後も更新頑張ってください。 (2022年5月11日 23時) (レス) @page39 id: 641fd1fa7b (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - れりーさん» ベルベットというお酒があるのですね！勘違いをしてしまい申し訳ございません！これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2022年5月11日 15時) (レス) id: cfd9189861 (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 月雨さん» 即座に直しました。教えてくださりありがとうございます！ベルモットではなくベルベットというお酒を見つけて名付けていました。紛らわしくて申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 花音さん» はじめまして。ありがとうございます。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れりー | 作成日時：2022年5月5日 22時
