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「さ、行きましょう。」

先程触れた手を再びすくい取り、私を立ち上がらせる。
さっきの沖矢さん、とてもかっこよかったし、安心感が凄かった。
また助けてもらったんだ...!

「ありがとうございます。ごめんなさい」
「?、どうして謝るんです?」
「あ...えっと、手間をかけさせてしまったので。」
「...」

何言ってるんだ自分。せっかく助けてもらったのに。
これじゃ失礼じゃないか。

「あ、いや、えっと」
「もう謝るの禁止です。」
「へ?」
「謝るのが癖になってますね。本当に自分が悪いと思った時だけしか使っちゃいけません。分かりましたか?」

本当に自分が悪いと思った時だけ...悪いと思っているから謝っているだけなのに、なにか間違ったことを言ったかな。

「迷惑をかけたから、というくだらない理由で謝られても嬉しくありません。
僕は一切迷惑ではありませんし、貴方のことを助けられて良かったと思っています。」

出会って間もないのに。
私の何を知っているというのだろう。

黒いモヤが生まれた。ここまで考えて、やめた。
これ以上考えたらきっとダメだから。

「それと...」

ふわ、と沖矢さんの匂いに包まれる。
今、抱きしめられてるの?
左手に頭を、腰に右手を回されて優しく壊れないように、ぎゅ、と抱きしめられている。

「怖かったですよね。間に合って良かったです。」

乾いた目元がまた潤っていく。
顔が沖矢さんの胸板に付けられているせいで濡らしてしまう。
また迷惑かけてしまう。あ、でも迷惑じゃないんだっけ。
わかんない。わかんないよ。

「う、あ...」
「我慢するな。ここには誰もいない。全て吐き出してしまえ。」

その一言で、我慢しようとしていた涙は一気に溢れ出した。
さっき言われた言葉で私自身が否定された気もするし、何が正しいのか分からなくなって。
何がダメで、何が良い?もうぐちゃぐちゃ。
とにかく今は泣きじゃくって、溜め込んでいた想いを涙で吐き出す。

そういえば、風邪引いてる時もこんな事があったっけ。なんてデジャブを感じながら。

第2章 終→←・



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れりー - ガニモスさん» はじめまして。応援ありがとうございます。続編もよろしくお願いします。 (2022年5月15日 18時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
ガニモス(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく閲覧させていただいております。今後も更新頑張ってください。 (2022年5月11日 23時) (レス) @page39 id: 641fd1fa7b (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - れりーさん» ベルベットというお酒があるのですね!勘違いをしてしまい申し訳ございません!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2022年5月11日 15時) (レス) id: cfd9189861 (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 月雨さん» 即座に直しました。教えてくださりありがとうございます!ベルモットではなくベルベットというお酒を見つけて名付けていました。紛らわしくて申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 花音さん» はじめまして。ありがとうございます。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れりー | 作成日時:2022年5月5日 22時

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