【名探偵コナン】自己評価低めの女子大生を沖矢昴が褒めていくことでプラマイゼロにする話

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どうして、私だけ。

気がつくと涙が溢れていた。泣いたって何も解決するわけじゃないのに。
足を止めようとしても無駄で、ずるずると違う方向へ引っ張られていく。
こうなったら仕方ない。可能性は低いけど、きっと誰かが気づいてくれることを祈りながら、弱まっている男の手を避けて人生で1番大声を出した。

｢助けて！！！！！沖矢さん！！！！！｣

ほぼ無意識だった。助けを呼ぶだけだったのに、いつの間にかあの人を呼んでいた。
今のこの状況を脱出するなら誰でもいいのに、どうして沖矢さんの名前が出てきたんだろう。

｢っ、この女！！｣

バシ、と平手打ちを食らう。グーで殴られないだけマシだった。でもとてもジンジンする。
どうしよう、もうダメかもしれない。
初めてはいつか好きな人と、と夢見ていたが、現実はそんなに甘くない。
初めてだから抵抗があるだけで、1度やられればきっともう怖がることも無いのだろうか。

｢っ、｣

床に放り投げられ、体が痛む。半分諦めていた自分がいた。
ここで処女を失うのか...痛いんだろうな、とても。

｢おい見ろよ。彼氏さんからラブコールがきてるぜ？｣
｢お熱い事だな〜羨ましいぜ。ビデオ通話にして生ハメ撮りでもするか？｣

見せられる画面には沖矢昴の文字。
しばらくするとそれは消えてしまった。
私のSOSが届いたのか、はたまた来ないことに苛立っているのか。
もうほとんど私達しかいない時間帯で、助けを呼んだって来る可能性なんて低い。
まして外にいる沖矢さんは気づけないだろう。

でも、でも。助けてほし｢Aちゃんがやらせてくれねぇなら、ほかの女を襲うしかねぇな。｣

え？

｢そうだな！仕方ねぇか、ごめんなー｣

まって

｢Aちゃんのせいで他の子が苦しい目にあうけど、気にしないでな！｣

だめ、それは

やめて、私のせいで、関係の無い人に被害が

｢だ、だめ...｣

気づけばそう言っていた。
耐えられなかった。"私"のせいで誰かが苦しい目に遭うなんて、この世で1番嫌な事だから。

ここで抵抗する気持ちなんて、完全に無くなった。

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