検索窓
今日:11 hit、昨日:10 hit、合計:78,371 hit

ページ12

昼食を取ったあと、まだだるさが残っているが帰らなければならないのだ。
せめてスマホはずっと持っておくべきだったととても後悔している。家から出されたのなんて急だったしなぁ…

「沖矢さん、これまで看病をして下さってありがとうございました。
この恩はどこかで必ず返します。なので」

今日帰ります。そう言おうとした時沖矢さんの声と重なった。

「ダメですよ。まだ本調子では無いのですから。せめて今日まではここにいて下さい。」
「で、でも、」
「病み上がりの時が一番怖いんです。今まで休ませていた体を急に動かしたら変に負担がかかってまた倒れるかもしれないんですよ?」

う、と言い負かされてしまう。
確かに、帰った時また体調を崩したらここまで看病してくれた意味が無くなってしまう。
でも父と母は2日も家に帰っていないことに対してどう思ってるだろうか。
失望?軽蔑?あぁ、考えるだけで怖い。

親と沖矢さんを天秤にかけて考えていると、沖矢さんが真面目な顔で話しかけてきた。

大体、何を話すのか予想は着いている。

「あの日、どうして傘もささず外にいたんですか?」
「…」

言ってしまえば楽になりそうな気がした。でもそれは同時に親への反抗になる。
産んで育ててやった恩を仇で返すのか?そんな声が簡単に想像できる。
私に向けていた期待の目はいつしか妹に変わり、最近は私の顔を見ようともしてくれなかった。
妹は私より活発で、自分の意見をハッキリという子だから、てっきり私みたいな扱いをされるのかと思っていたけど、私よりも将来有望だと思っているらしい。
だから、何も言わずやりたいことをやらせているようだった。

一時期、そんな妹に嫉妬していた。酷いことも考えた。
私が居なくなったら標的は完全に妹に行く。だからいっそ家出してやろうとも考えていた。
でも、どんな時でも妹は私を姉さんと慕ってくれている。ごめんね、私は姉失格だよ。

「妹と喧嘩して、ちょっと頭を冷やしてただけですよ。」

ごめんなさい沖矢さん。どうしても譲れない。
両親が大事。妹も大事。私がもっと頑張ればいいの。

上手く笑えていただろうか。沖矢さんは、はぁ、とため息をつく。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
185人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れりー - ガニモスさん» はじめまして。応援ありがとうございます。続編もよろしくお願いします。 (2022年5月15日 18時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
ガニモス(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく閲覧させていただいております。今後も更新頑張ってください。 (2022年5月11日 23時) (レス) @page39 id: 641fd1fa7b (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - れりーさん» ベルベットというお酒があるのですね!勘違いをしてしまい申し訳ございません!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2022年5月11日 15時) (レス) id: cfd9189861 (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 月雨さん» 即座に直しました。教えてくださりありがとうございます!ベルモットではなくベルベットというお酒を見つけて名付けていました。紛らわしくて申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 花音さん» はじめまして。ありがとうございます。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:れりー | 作成日時:2022年5月5日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。