検索窓
今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:78,376 hit

ページ11

視線が泳ぎ、どうしようかと困っていると、早く食べないと零れちゃいます。と言われた。そ、そっか…
ええい!と覚悟を決めて、ぱく、と口に含んだ。
あ、美味しい…鮭の濃い味が薄味のお粥と混ざりあってちょうどいい味になってる。

「今日は少し鮭の量を多くして味を濃くしてみました。ずっと薄味だと飽きるだろうし、だんだん体調も良くなってきてるみたいですしね。」

確かに、お粥って基本薄味だよね。なのにこんなに味が感じとれるのは沖矢さんが工夫したからか…
美味しいです。と伝えれば、良かったですとスマイルも加え返ってきた。とことん紳士だ…この人に拾われたのは運が良かったな。これから悪いことが起きなきゃいいけど…
今日までの恩、どうやって返したらいいのかな。
あれ?そう言えば…

「私の名前、どうして知っているんですか?」

話を一方的に聞いているだけで自己紹介なんて一切してなかったはず。
ああ、と彼は思い出したようにこういった。

「僕も君と同じ東都大学の院生だからですよ。」

あ、納得。
自慢する訳では無いが、私は大学内でちょっとした有名人だ。
容姿端麗文武両道、高嶺の花としてある意味恐れられている存在。
そのせいで友達と呼べる人は出来てないんだけどね。
もしかして、沖矢さんも"私"だから助けただけなんじゃ…
ちょっと複雑な気持ちになった。
ここまで考えて、とある疑問が思い浮かんだ。
大学…大学!!!

「ああああの、私っ、大学が!?」
「その件については大丈夫ですよ。僕が連絡を入れておきました。」
「あっ、へっ、よかった…」

そうして、口の中が無くなると次々と食べさせられる。
あっという間に完食し、ご馳走様でしたと手を合わせたら満腹感でうとうとしてきちゃった。

「病み上がりですからね。またぶり返したら大変だ。
まだまだゆっくりお休みになってください。」

でも、食べてすぐ横になるとダメって言うし…
そんな私の気持ちを察したのか、彼はフォローを入れてきた。
風邪を治すために必要なことですよ、って。
エスパーかな?
渋々布団に入り、顔半分までかけると沖矢さんは頭を撫でてくる。
この人の撫で方、すごく眠くなる…そんなことは無いんだろうけど、今の私にとったら睡眠導入剤のようなものだった。

「おやすみなさい…」
「はい、おやすみなさい。」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
185人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れりー - ガニモスさん» はじめまして。応援ありがとうございます。続編もよろしくお願いします。 (2022年5月15日 18時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
ガニモス(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく閲覧させていただいております。今後も更新頑張ってください。 (2022年5月11日 23時) (レス) @page39 id: 641fd1fa7b (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - れりーさん» ベルベットというお酒があるのですね!勘違いをしてしまい申し訳ございません!これからも更新頑張ってください!応援しています! (2022年5月11日 15時) (レス) id: cfd9189861 (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 月雨さん» 即座に直しました。教えてくださりありがとうございます!ベルモットではなくベルベットというお酒を見つけて名付けていました。紛らわしくて申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 花音さん» はじめまして。ありがとうございます。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:れりー | 作成日時:2022年5月5日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。