出会い ページ2
生まれてきた時点で間違いだったのだ。
この世界に生まれたいという意志を持ってごめんなさい。
酷い雨の夜、傘も持たずに地面へ座っているその女性___星野A
瞳に光は無く、ただただ許しを乞うその姿は家族にとって鬱陶しく感じていた。
いつからだろうか、親の愛が感じられなくなったのは。
｢どうして貴方は出来が悪いの？｣
ごめんなさい
｢妹の紗奈はこんなにも優秀なのに。｣
ごめんなさい
｢一家の恥だ。出ていけ｣
ごめんなさい
出来が悪くてごめんなさい。
このまま低体温症で死んでしまおう。
きっと楽になる。ちょうど眠くなってきたところだった。
｢大丈夫ですか？｣
ふと、頭上から声が聞こえた。雨に打たれる感覚もなくなって。
誰かを確認したいけど、顔を上げる力はもう残っていない。
失礼極まりなくて申し訳ない気持ちで埋まりつつ、俯いたまま答えることにした。
｢どなた…ですか…｣
｢そんなことより、ここに居ては風邪をひいてしまいます。
ご自宅はどちらです？｣
その人物は私の手に触れた途端、ぴくりと震わせたのが伝わってきた。
暖かいな…でもビショビショの手を触らせてしまって申し訳ない。ごめんなさい。
｢失礼いたしますね。｣
瞼が落ちかけて、周りの音もあまり聞こえなくなってきて、感覚も無くなりかけているけど
冷たい地面から体が離れたのは気づいた。
きっとどこかへ連れていかれる。だめ、これは期待に応えられなかった罰を受けてる最中なんだ。
お人好しな人に見つかって、私にとったら運が悪かった。
勝手に家から離れたら、次は勘当される勢いでお仕置を受けなければいけない。
｢やめ…はなして…｣
呂律が回らず、上手く喋れてない。
蚊の鳴くような声だから、嵐のような雨に掻き消されて届いていないであろう。
触れられている箇所が熱くて、暖かくて、その人の体温を奪ってしまう。ごめんなさい。
でもその温もりは割と直ぐに離れてしまい、代わりに何かに乗せられた。恐らく車だろう。
やはり制止の声は届かなかった。
車は無慈悲にも動き出し、心地よい揺れとともにどこかへ向かっていく。
何もかもが久しぶりな感覚に、恐怖とこのまま逃げ出したい気持ちが芽生え始めていた。
……だめ。悪いのは私。こんな悪いことを期待しちゃだめだ。
成績を伸ばせない私が悪いんだから。
体力が回復したら急いで家に戻って謝ろう。
____ごめんなさい。本当に、ごめんなさい
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れりー - ガニモスさん» はじめまして。応援ありがとうございます。続編もよろしくお願いします。 (2022年5月15日 18時) (
レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
ガニモス(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく閲覧させていただいております。今後も更新頑張ってください。 (2022年5月11日 23時) (レス) @page39 id: 641fd1fa7b (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - れりーさん» ベルベットというお酒があるのですね！勘違いをしてしまい申し訳ございません！これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2022年5月11日 15時) (レス) id: cfd9189861 (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 月雨さん» 即座に直しました。教えてくださりありがとうございます！ベルモットではなくベルベットというお酒を見つけて名付けていました。紛らわしくて申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
れりー - 花音さん» はじめまして。ありがとうございます。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年5月11日 1時) (レス) id: 81bbceea4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れりー | 作成日時：2022年5月5日 22時
