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その後は無礼講の如く酒を浴びるように飲み始めた彼等について行けず、私はひとりでベランダに出た
冷たい風が頬を撫でる
賑やかな声が響く中から一歩抜け出すだけで、私は他人だと思い知らされた
虚しい感覚なのに、それもどこか心地よくて深呼吸をすると、背後から竜胆の声が
「A、飲まねーの？
3%のならジュース感覚で飲めるぜ」
アルコール飲料の缶を片手に私の隣りに立ち、ゆっくりと私を見下ろした
「竜胆…くん」
曖昧な呼び方をした私に彼の表情は険しいものへと変わり、低い声で
「それわざと？」
なんて、表情豊かな彼をほんの少し揶揄いたくなった
蘭の気持ちがどこか理解できてしまった瞬間でもあった
「私自身、竜胆って呼ばせてもらうより、くん付けの方がしっくり来るような気がして…」
「まぁ、ずっとそうだったし
いーよ、好きに呼んで」
「弟くん」
「無理やり飲ませよーか？」
「怖いよ」
よく見ると、竜胆も何処となく顔は赤く飲んでいた事がわかる
私だけシラフなのもマナー違反なのかなと
無意識に彼の手にあるお酒を見つめていたようで、彼は小さく笑ってソレを私の前に差し出した
「少し飲んで、ちっとは気ぃ抜いて
まぁ世話焼きだったAも良いけど、今の世話焼かれてる感じのAもまたギャップあっていーし…あ、いや別に深い意味はないけどな…」
「ふふ、フォローしてくれてるんだね
ありがとう竜胆くん
ではそちらをいただきたいと思います」
ぽりぽりと頬をかく素振りを見せた彼から缶を受け取り口を付けた
「…その、兎に角オレはAの力になりてーだけだから」
酔っているであろう竜胆の顔の赤みが、ありもしない私に対する「好意」のように捉えてしまって、私は慌てて顔を背けた
無駄に真剣な眼差しな気もしたし、心臓に悪い…
誤魔化す様に飲み干したアルコール飲料は、割と喉に熱を与えて、一瞬にして身体がぽかぽかしだした
3%の割には少し強そうな…と缶を見ると数字は9%
「竜胆くんコレ3じゃない…」
「……あ、悪ィそれ兄貴のだった
もしかして気分悪ィ？大丈夫か？」
「全然大丈夫〜」
心配そうに私を見つめる彼が、どうしてか犬のように見えて仕方ない
「Aと飲む時もっといってたもんなぁ
また行こうぜ」
にっと笑う竜胆は眩しくて、一瞬心が奪われた
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作者名：みんじろう | 作成日時：2023年1月22日 13時
