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ピンク髪の子は三途春千夜くんと言って、私の乗る車椅子を押し一緒に医者の話を聞いてくれた
日が暮れるまで私がどこの誰なのか、とか周りの人間関係を丁寧に教えてくれるあたり、きっと彼ととても仲が良かったんだろう
話を聞いている途中、ドアが開きマイキーと呼ばれた子が駆けつけてきた
飛び掛かろうとしてくる気迫にびっくりして、思わず私は三途くんの手を握った
勢いが消えた瞬間、彼は三途くんを殺しそうな眼差しで睨み上げて小さな声で
「お前、Aに何を吹き込んだ…?」
なんて少し物騒な物言いで問い詰めていた
「違うってマイキー、一時的な記憶障害って連絡入れただろ」
「A、マジで俺オレの事わかんない?オレと将来誓いあったことも、毎晩同じベッドで寝た事も…!」
「吹き込んでんのはマイキーだろ!」
「事実だし!!」
「一方的な誓いは事実に含まれねーよ!」
また注意されそうな声量だったけど、2人のやりとりに思わず笑うと、三途くんとマイキーは顔を見合わせてから口を閉じた
「A、記憶はぶっちゃけ戻さなくても良い、むしろ好都合だからオレとの思い出でこれから埋めていこうな
退院はいつなんだ?迎えにくる」
「オイオイ頭おかしい奴の発言だろソレ
ちゃんとみんなに報告して退院祝いしようぜ」
「しなくていい!このまま2人の世界に浸れるからしない方がいい!三途は第一発見者だから仕方ねーけど、他の連中は全員敵だってことにしよう、な」
「 な、じゃねーワ
極悪非道かよ
つかもう人間関係写真付きで説明したし」
「なに余計な事してんだ飛ばすぞ?」
「窓指さしてんじゃーねよ」
「ここ病院だからすぐ診てもらえるし良いだろ」
「A、コイツやべぇやつだから信じんなよ」
「そうだね…」
そう軽く返すだけで床に沈んだマイキー
彼を鼻で笑った三途くんはハッとした顔をしたあと、時計を確認した
「やべ、もう面会時間終わりじゃん
退院は明後日だけど、明日は来れそうなやつ連れてくるから、ゆっくり休んで待ってて」
「オレはAとここで寝る」
「だな、一回飛んだら寝れるかもよ」
「一生寝ちまいそう」
互いにケラケラ笑った後、マイキーは私の頭に手を置いて、額にキスをした
「また明日」
嫌悪感などは一切なく、あるのは"熱"のみ
なんだこの王子様みたいな子は…!!
赤面してしまってるであろう私を凝視したマイキーは、顔を押さえて地団駄を踏んだ
「俺の明るい未来が見える…!!」
「不謹慎」
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作者名:みんじろう | 作成日時:2023年1月22日 13時