検索窓
今日:16 hit、昨日:2 hit、合計:21,545 hit

9.消えるのは何か ページ9

.








貴「・・・・・え?」




あまりに、私にとって的外れな事を言われて


少し口元が上に歪む。



でも、心はざわざわと


とりとめのない不安がぶわあと広がる。





身体の重心を望の方に寄せると


背中に望の腕があたる。


別に抱きしめられてるわけでもなんでもないけど


ただ、安心できる気がした。








貴「・・・消毒液って、あれでしょう?ツンとする匂いの。」

淳「それです。」

貴「でも、全然匂いしない・・・」

淳「・・・・」

貴「・・・・え?ちょっと望、これ嗅いでみて。」

望「そんな近くに持って来んでも、消毒液の匂いするよ。」




望が、遠くに感じる。






あの時と一緒。


全く一緒だ。



望の香りが感じられなかった、あの時。






貴「・・・何これ。」






.








.








淳「詳しくは分かりませんが。」



淳「小泉さんの病気は、五感を失う病気です。」






淳「世界では何人か同じ病気の人が発見されてますが。」








淳「・・・ストレス性のもの、としか、分かっていません。」








中間先生が


わざわざ、暗い顔を、隠そうなんてするから



だから、逆に察してしまった。








淳「どの患者も、病気が発症する前に、何らかの強いストレスが与えられていて・・・」


貴「もう分かったよ。先生。」





治らない。


悪化する。



見えなくなる。聞こえなくなる。何も感じれなくなる。









.









貴「きっと、しんでしまうんやろ?」





そうやって徐々に


望だけでないすべてが、


私の世界から消えていくんやろ?






・・・・・ああ、違う?









私が世界から消えていく?









そんな言葉遊びを頭の中でしてみた。




そしたら案外、こんな時でも笑えたよ。

10.自己中心的→←8.ため息ではなく、大きな深呼吸



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
188人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜翔 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2017年12月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。