7.見えるもの ページ7
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私はどうやっていつも望を認識してるか。
そう考えると、やっぱり
目、だと思う。
声で、香りで
望かな、って分かる時はある。
でも、その方向に振り返って
望を、目で確認した時
・・・・・ああ、望がいる、って
ようやく実感できる。
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だから、意識が戻ったのに
上手く目が開けられなくて
目が開けられた後も
暗闇からとの比較で、眩しくて何も見えない世界では
望「・・・・A!」
貴「・・・の、ぞ、む。」
声も聞こえるのに
声も出せるのに
見えなくて、
早く、早く、と
不安でたまらなかった。
望が目に映って
声を聞いて、それに返して
抱きしめられて
私はようやく、安心できた。
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望「・・・2日くらい、寝てたんちゃうかな。」
望はそれから、私が倒れた後の事を教えてくれた。
お父さんとお母さんが死んだのは
お母さんの弟さん、つまり叔父さんに伝えられたみたいで
叔父さんが、お葬式とか全部、予定してくれたらしい。
・・・・告別式は、もう終わったらしい。
おじいちゃんが死んだときにも叔父さんがやってくれてた。
だから、勝手が分かってたんやろう。
そして、さっさとすませた。
いつ起きるか分からない娘をほったらかして。
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寝起きのせいで、まだ頭が回ってないのか
ぼんやりと、怒りや悲しみもきっとあるのに、分からなくて
ただぼけーっと
望がいることだけに、安心してた。
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そうすると、廊下を歩いてた、白衣を着た医師が
開いた扉越しに、私を目が合って
驚いた顔をして、小走りで私の傍に来た。
・・・・何だか、顔のパーツが全体的に大きい。
綺麗な顔してはるけど。
淳「・・・・小泉さん?」
貴「・・・・誰?」
望「あ、担当医の、中間先生。」
淳「小瀧さん。起きたなら早く伝えてください。」
中間先生、と呼ばれたその人は
私が医師、という職種に持ってる偏見通り
何だか神経質そうに、眉間に皺を寄せた。
・・・・ちょっと、怖いかも。
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作者名:桜翔 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2017年12月16日 21時