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32.本音だけ ページ32

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自分の手を、望の方へ泳がせる。



そうすると、とん、と軽く手が触れて


少し力が加わって、私の手を望の手の中に導かれる。





ずっと室内にいた私より


望の手は、当然だけど、冷たい。









でも望は


なぜか私にとって、いつでもあったかいんだ。









.









貴「・・・・・私は、


望が好き。





だ、から・・・」







ああ、なんか


久しぶりに本音を言えた気がする。




私は、更に面倒くさい女らしく



本音を言った恥ずかしさ、


本音を出した同時にどろどろと押し寄せてくる感情のせいで







悲しくもないのに、涙が止まらなくなった。

























望「・・・・・・うん、俺も好きやで。」









.









ああ、すごい懐かしい。この気持ち。


確かに、好きだって言われたのも久しぶりなのもあるし





望に告白されたあの日と、全く同じ。







本当に?同情じゃなくて?とか疑いながら


「好き」って言葉が


結局、ものすごく単純に、まんまと嬉しい。









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貴「・・・・ほんまに?」

望「ほんま。」

貴「ずーっと思っててん。誰にでも好かれるような望が、私なんかのどこが好きなんやろって。
そんで、一回冗談っぽく聞いてもごまかしただけやし。」

望「・・・・ちゃうやん。言ったけど、信じてくれへんかったんやん。」

貴「へっ・・・?」






思わず、多分、ものすごく間抜けなポカン顔をしたと思う。


それに対して望は


「もうー・・・」とあきれた声で



でも







きっと、顔を赤くした。









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.









望「・・・・一目ぼれやってば。」

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←31.自信が無いと、好かれたいとさえ考えられない



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作者名:桜翔 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2017年12月16日 21時

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