４．『ばいばい』もロクに言えない ページ4
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いつも通り、お互いの家が近いからと望に家まで送ってもらった。
本当は、そんなに近くない。
電車１駅分くらい離れてる。
でもそれに気づかないフリして甘える。
・・・・だって、出来るだけ長く傍にいたいやん。
ああ、今日はとりあえず別れななあ。
そう名残惜しさで、少し俯いてから
そのままの状態で、笑顔を作って
顔を上げて、望にその表情を見せる。
「また明日。」
そう言おうと、口を少し開いた刹那。
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２人の間に鳴り響く電話の音。
私の鞄から、音に従った振動が伝わってきて
自分の携帯のものだと気付く。
ああどうしよう。誰やねん。
望は出てええよ、って意味で頷いた。
だから出ない理由も無くて
ああちゃんと、ばいばいも言えへんな、と思いながら
携帯の画面を見ると
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貴「・・・・・病院？」
気付いたら声に出てしまってた。
それに望が、携帯の画面をのぞき込む。
望「・・・・はよ出た方がええんちゃう？」
望のその言葉ではっと気づき
電話機を上げたマークをスライドさせる。
お母さんが怪我した？それともお父さん？
そう、考えてるはずやのに
それ以上の事だと決めつけて
身体が異常に震える。
やだ。何。病院なんて馴染み無いもん。
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『小泉さんのご家族の方でしょうか？』
ドラマや映画の中でだけ聞いたことのあるセリフが
電話越しで機械音のようになった声で聞こえる。
口の中が乾燥して
はい、すらも上手く言えず
結局２回、はいと言った。
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『お母様が、＿＿＿＿＿＿」
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作者名：桜翔
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2017年12月16日 21時
