雪に願いを【Nozomu.K】 (ページ16)

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１６．図々しさページ16

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次に目を覚ましたのは

インターホンの音でだった。

目を擦り

顔の横の髪を1度だけ梳いて

外を確認もせず、扉を開けると

望「・・・・・・A。」

貴「のぞむ・・・」

自然と口から溢れた名前は

異常にカサカサで

その声と、私の様子で

ある程度は察したのか

望は眉をひそめた。

ああ私

みっともない。

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貴「・・・・今何時？」

望「9時かな。」

貴「こんな時間に、どうしたん？」

望「そっちこそ、ご飯どうせ食ってへんやろ？」

貴「うん。」

望「一人では食えへんくらい作ってしもうたから・・・一緒に食べよ。」

手に持っていた紙袋を

私の前に差し出す。

中からタッパーが見えて

そのタッパーの透明の所から、肉じゃがが見える。

貴「・・・ウチ、お米も無い。」

望「コンビニで炊かなくていいお米買ってきた。」

貴「・・・ありがと。」

望「どういたしまして。お茶入れてー。」

そういうなり

私を押しのけて、図々しく家に入り

鍵を閉めて振り返ると

もう既にキッチンの方に向かっていた。

そういえば、望はよくこの家に来ていた。

その時は今とは逆で

望が一人暮らし始めたばっかで

料理もまだそんなにうまくいかないって言ってたから

お母さんが誘いな、って言ってくれて。

それから何回か

夕ご飯の時にウチに来て

誰よりも多い量食べてたっけ。

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望「Aもはよ。俺腹減った！」

望の

優しさを隠すための図々しさが

物凄く、心地よかった。